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2012年4月11日(水)

原発再稼働は「無基準」

まともな統治能力なし

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 野田政権は、福井県にある関西電力大飯原発3、4号機の再稼働に向け、関西電力が提出した工程表(安全向上計画)について、「(新基準に)おおむね適合」、「安全性はおおむね確認された」(枝野幸男経産相)として、週末にも再稼働の判断に踏み切る構えを見せています。

「即席」手続き

 野田政権がこれまで示してきた、ストレステスト(耐性試験)の1次評価に基づく再稼働への「政治判断」をあきらめ、「新たな基準」の作成を指示したのが今月3日です。それから3日目の6日に「新基準」が関係閣僚会議で示され、その3日後の9日に関西電力が「新基準」に基づく“安全対策”のための工程表を経産相に提出し、その日のうちに政府が「安全」とお墨付きを出すという異常な「即席」手続き―。

 そんなデタラメな手続きが「可能」なのは、「新基準」自体が、実施済みの小手先対策にプラスして「(今後の)計画」を工程表として出せばよいというもので、要するに何もやらなくてよいという「無基準」だったからです。大手メディアでさえ、関西電力が出した工程表が「対応済みの対策を焼き直したに過ぎず、新たに何もしていないに等しい」(「朝日」10日付)と批判しました。

 そもそも原発事故自体が収束していません。3月末には事故を起こした福島第1原発2号機の格納容器内の水位が初めて確かめられましたが、推定の3分の1にも満たない60センチだったことがわかりました。

 事故から1年1カ月が過ぎましたが、原子炉圧力容器内や燃料の状態はもちろん、地震による損傷実態はほとんど把握されていません。政府と国会の事故原因究明はまだ途上で、その十分な専門家の体制もできていません。事故の教訓を受けて原子力の安全を考え直していく根本対策が手つかずです。大飯原発周辺の活断層の評価が不十分だという専門家の指摘も相次いでおり、住民や周辺自治体の不安は当然です。

政府内からも

 これほどいいかげんな手続きで原発の「再稼働」を強行する野田内閣の姿勢は、もはや政府自らが国民の安全に責任を持つ、まともな統治機能を放棄するものというべきです。

 政府内の原子力安全問題の担当者からも落胆の声が漏れます。

 「確かに焦って見える。(原発停止のまま)夏を越すと、『原発はなくてもいい』ということになりかねないという焦り。しかし、そっちが先に来ては絶対ダメで、当然、安全を大前提に進めるべきだ。拙速という批判は甘んじて受けざるを得ない」 (中祖寅一)


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