「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年4月1日(日)

東電値上げ

「あまりに一方的」病院企業

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 福島第1原発事故を起こした東京電力が1日から「自由化部門」(契約電力50キロワット以上)の電気料金を平均17%値上げすることに対し、「一方的すぎる」と企業や病院などから批判の声が上がっています。

 (舘野裕子、前田桃)


写真

(写真)大量に電気を使う印刷会社の輪転機=31日、東京都内

 東京都文京区にある東京健生病院の山岸太一事務長は「診療報酬は決まっているので、病院は節電をして対応するしかない。完全に費用の増大です」と困惑気味。値上げされれば、同病院は年間で15・4%、285万9千円の負担増に。

 カルテは全て電子化され、パソコンで管理。「他にもCT、レントゲン、人工透析の医療機器は、絶対に止めるわけにはいかない。“節電中だからレントゲンは受けられない”なんて患者さんに言うわけにはいきません」といいます。「東電からは値上げを知らせる文書が届いただけです。あまりにも一方的」

 年間600キロワットで契約している東京都内の印刷会社では当初、東電の担当者から年間14・3%の値上げ率の同意を迫られました。契約期間の途中である場合、契約期間満了まで現行料金を継続することができるとの説明は東電側からはなかったといいます。印刷会社側から切り出したところ、東電側は「説明不足だった」。後日、契約満了時まで現行の電気料金を維持する知らせが届きました。

 これまでも節電をし経費削減に努めてきたという印刷会社の総務部長は「契約満了までの現行料金継続のことを知らなければ、しらを切る気だったのではないか。だまし討ちのようだ」と憤ります。

 電気料金引き上げ分の「不払い運動」をしている埼玉県の川口商工会議所は、製造業を中心とした企業1457社に値上げによる影響調査を実施。回答した企業276社のうち、約9割の企業が現状での値上げに不満や疑問を持っています。寄せられた意見には「今回の一方的な値上げには怒りを覚える」「政治にも問題があるのでは」など、東電や政府に対する不満の声がありました。

グラフ 電気料金値上げをどう思う

知事・医師会 批判広がる

 東京電力の電気料金の値上げに対して批判の声が広がっています。

 関東周辺の10都県でつくる関東地方知事会(会長・横内正明山梨県知事)は3月28日、「大幅な値上げを実施しようとしていることは極めて遺憾である」として値上げの中止を求め、東電と政府に要望書を提出しました。日本医師会(原中勝征(かつゆき)会長)は2月29日、「値上げは事業者の経営に止(とど)まらず、国民の生活に多大な負担を押し付けるもの」であり「断固反対」として、値上げの撤回を求める要望書を提出しました。全国医学部長病院長会議(森山寛会長)も3月15日、患者の健康維持に大きな影響を及ぼすとして、「強行値上げに反対し、再考を求める」とする要望書を提出しています。

 東電が値上げの理由としている燃料費増加による経営悪化は、自らが引き起こした原発事故が原因です。原発事故の責任は東電とその大株主、メーンバンクが負うべきです。事故処理にかかる費用を電気料金の値上げで国民に転嫁することは不当です。電力業界が積み立てている「使用済み核燃料再処理等積立金」などの埋蔵金には手を付けないまま、一方的に電気料金の値上げを押し付けることは許されません。

 (柳沢哲哉)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって