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2012年3月28日(水)

電事連 防災強化に抵抗

“原発危険視増える”“金かかる”

再稼働推進し今も安全軽視

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 電力10社でつくる電気事業連合会が昨年の福島原発事故の直前、内閣府原子力安全委員会による国際基準を踏まえた防災指針の改定作業に対し、「原子力は危険だという理解となる可能性がある」「交付金等の増額要求となる」などと対策強化に抵抗する文書を同委員会に提出していたことが27日、同委公表の資料で明らかになりました。電力業界がいま安全の保証もないまま原発再稼働を推進していることは、安全軽視の体質になんら反省のないことを示すものです。


昨年文書提出

写真

(写真)電気事業連合会が入っている経団連会館=東京都千代田区

 原子力安全委員会は2010年12月、原子力の防災指針に、IAEA(国際原子力機関)などの国際基準を取り入れる検討を進めることを決定しました。

 重大事故が発生した際、放射性物質の放出前に「即時避難」する「予防的防護措置準備区域」(原発から5キロ圏、PAZ)、緊急時に避難や屋内退避ができるよう準備する「緊急時防護措置準備区域」(同30キロ圏、UPZ)などを新設することが検討されることになりました。

 これに対し、電事連は昨年1月と2月、独自に推定したとする「国際基準導入に伴う自治体影響」の資料を提示。資料は、各原発などでPAZやUPZが導入された場合に対象となる自治体や人口を一覧にしています。

 「取扱注意」とされた2月の資料には、原発から5キロ圏のPAZを導入した場合、22道府県37市町村の18万9200人が、同30キロ圏のUPZを導入した場合、35道府県193市町村982万3000人が対象になると推定しています。

 その上で、PAZの導入は「地域経済に与える影響が出ないと言い切れない」「長年のスキーム(枠組み)が否定されかねず、住民の中から国の防災規制に不信感が生じる可能性がある」と強調。

 また、UPZの導入で「領域内に入る新たな自治体は、(交付金・補助金)を要求する可能性がある」「県庁所在市や大規模道府県がUPZ内に入った場合、その発言力は忌避しがたく、大きな混乱を招く可能性もある」などとしています。

 その後、昨年3月、福島第1原発の事故が発生。原子力安全委員会は今月22日、PAZの導入や防災対策を重点的に充実すべき地域を30キロ圏内に拡大する内容を盛り込んだ防災指針の改定案をまとめました。

 防災指針の改定については、原子力安全委員会が2006年に、PAZなどを導入する検討に入った際、原子力安全・保安院が「国民の不安感を増大させる」などと、改定を妨害したことが判明しています。この時、PAZなどの導入が見送られています。


 電気事業連合会 1952年に9電力会社(北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州)で設立した電力会社の産業団体。2000年、沖縄電力も加盟。「原子力部」「原子燃料サイクル事業推進本部」などの組織を持ち、豊富な資金力を背景にマスメディアや経済界だけではなく、政界にも大きな力を持っています。現会長は八木誠(関西電力社長)。本部は東京都千代田区大手町の「経団連会館」内。


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