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2012年3月24日(土)


TPP交渉

関税撤廃で「除外」認めず

BSE対策・公的保険も標的に

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 野田佳彦首相は昨年11月に環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加に向けた「関係国との協議」を開始すると表明しましたが、その後の交渉状況はほとんど公にされてきませんでした。23日付本紙1面所報の政府の最新資料は、交渉の重大な内容の一端を明らかにしています。(林信誠)


即時関税撤廃

 「包括的で高いレベルの自由化」を目指すTPP交渉でもっとも重要なのが「例外なしの関税撤廃」です。これまで日本政府は、コメなどを「センシティブ(重要)品目」として「例外」扱いできるかのように宣伝してきました。

 ところが実際の交渉では、多くの国が「90〜95%」の品目を協定発効と同時に「即時関税撤廃」し、残る品目も7年以内に撤廃すべきだとの考えを支持。関税撤廃の対象としない「除外」や、交渉を先送りする「再協議」を原則認めない立場を示しています。実際に特定品目の「除外」を求めている例もないとしています。

輸出国「権利」

 衛生・植物検疫協定の「権利義務を強化」することについて「合意がある」と記述。米国は牛海綿状脳症(BSE=狂牛病)予防のための日本の牛肉輸入制限の緩和を強く求めており、ここでも輸出国=米国の「権利」が強化されるおそれがあります。

英語告示義務

 公共事業などの政府調達について、資料では「英語で入札公告の概要を告示」する義務が課されるとの情報を明記しています。この対象に「地方政府」「その他の機関」も含めるよう目指している国もあり、英語告示にかかる経費など自治体の費用負担増につながりかねません。

知財期間延長

 米国は、自国企業が開発した医薬品のデータを他国の企業に利用させないために、「知的財産」の保護期間の延長を目指しています。資料によると、TPP交渉でも「著作権」や「医薬品のデータ保護期間」が「議論されている模様」と説明。実際に延長されれば、ジェネリック薬品など安価な医薬品の製造が困難となり、途上国や貧困層の医療に重大な影響が生じます。

「国有」を標的

 米国の提案で「国有企業に特化した議論」がされていると説明されています。「有利な待遇を与えられた国有企業」を標的としており、日本の郵政事業も対象となりかねません。

免許相互承認

 「資格・免許」「専門職」について各国間で「相互承認」を協議するための「枠組み」づくりが検討されていることが判明しました。医師免許などの「相互承認」が今後交渉対象となる可能性を政府も否定していません。

 また、「急送便」の「公正な競争条件の確保」なども提案されているといいます。

「対等な競争」

 公的な「保険サービス」を標的に、「民間との対等な競争条件の確保」のための議論が行われています。日本の公的医療保険や医薬品制度、共済が崩壊の危機にさらされることにもなりかねません。

「サメの保護」

 米国が、乱獲防止を理由とする「漁業補助金」の禁止や「サメの保護」等を提案し、各国間で議論されています。サメのヒレは「ふかひれ」の原料として宮城県など東北地方から世界に輸出されており、被災地の経済復興にも重大な影響を及ぼしかねません。

秘密のベール

 一方で資料では、「議論されている模様」などの不明確な記述が目立ちます。“同盟国”の米国が提案する「サメの保護」の条文案も「明らかにされていない」など、米国からも必要な情報が入手できていない実態も露呈。まさに“秘密交渉”そのものです。


「壊国」鮮明 参加に大義なし

 坂口正明全国食健連事務局長の話 情報公開は、国民の「情報開示を」の声に押されたものですが、重要な内容をここまで隠してきたことに怒りを覚えます。事前協議の内容もすべて明らかにすべきです。

 今回明らかにされたことの多くは、私たちが「壊国」につながると懸念していたことです。とくに関税を7年でゼロにすることや漁業補助金の禁止などは、農林漁業の再建が欠かせない被災地の復興の障害です。

 TPPは、内容の上でも秘密主義という進め方の上でも大義のかけらもありません。参加阻止のために、国民共同のたたかいをいっそう広げます。


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