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2012年3月20日(火)

イングランド地方の国営医療制度

民間参入枠を拡大へ

英連立政権が導入狙う

医師ら弊害指摘し反発

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 英国の保守・自民の連立政権が、国営医療制度「国民保健サービス」(NHS)が主体的に担ってきた医療事業について、民間が参入できる枠をイングランド地方で増やし、“競争”を強化しようとしています。その内容を盛り込んだ法案に医療諸団体が軒並み反対。労組も「法案は大規模な民営化を意味する」「われわれのNHSを守れ」と声を上げています。(ロンドン=小玉純一)


 NHSは第2次大戦後の1948年に発足。英国福祉のスローガン「ゆりかごから墓場まで」の具体化の一つです。窓口負担なしで知られ、現在、国の予算の6分の1を投じ、イングランドでは1000億ポンドの年間予算と140万人のスタッフで運営されています。

 政府は、▽社会の高齢化や新薬の経費などでインフレ率以上にNHS支出が増えており効率化が必要だ▽競争によって効率と質が向上する―と主張しています。

 一方反対論者は、競争によってNHS病院が利益の出ない医療の切り捨てを迫られることになると批判。政府は法案を一部修正したものの、関係者の同意は今もなお得られず、反発さえ強まっています。

 王立内科医協会は16日、民間参入などへの懸念に加え、訓練・教育面での懸念から、医師69%が法案に反対を表明しているとの調査結果を発表しました。18日には医師ら約250人が、法案賛成議員への「報復」として次期総選挙での落選を狙い、該当選挙区に対立候補を擁立する方針を英紙インディペンデントで発表しています。

 労組のナショナルセンター、労働組合会議(TUC)のバーバー書記長は、このほど開かれた反対集会で「NHSにとって史上最大の脅威」と重大性を強調。「私企業は利益が出る仕事をとり、納税者が他のすべての勘定を払うことになる」と指摘しています。


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