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2012年3月15日(木)

東南アジア 格差是正へ手をうつ各国

最賃導入 外資課税強化

成長の一方、国民不満が増大

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 【ハノイ=面川誠】高い経済成長率が続く一方で所得格差が拡大する東南アジア各国で、政府が対策に乗り出し始めました。国民の不満増大を受けて、最低賃金制度や生活支援、外国資本への課税強化など、さまざまな政策で格差是正を図ろうとしています。


マレーシア

 マレーシアでは、初の最低賃金制度が近日中に実施されます。

 金額は地域ごとに月額800〜900リンギ(1リンギ=約27・3円)。労働人口の約3割の給与は貧困ラインの763リンギを下回っているといいます。

 違反した雇用主は労働者1人につき最高1万リンギの罰金が科せられます。

 各財界団体は反対していますが、スブラマニアム人的資源相は6日、「8割の国が最賃制度を導入している。賃金引き上げと経済発展は両立できる」と反論しました。

シンガポール

 シンガポールでは昨年、国民生活対策が争点となった総選挙で、1965年の独立以来の政権党・人民行動党(PAP)の得票率が大きく後退しました。

 今年度予算は所得格差是正や雇用安定に焦点を当てています。

 今後5年間で36億シンガポールドル(約2300億円)を低所得者向けの減税財源に充てるほか、福祉財源となる「中央積立基金」の企業負担分を増額。低所得世帯が支払った物品サービス税(消費税)を還付します。

フィリピン

 貧困削減を優先課題に掲げるフィリピンのアキノ政権は、外資の進出が著しい鉱山業者への課税を強化する方針です。昨年の投資総額は28億ドル(約2300億円)に達します。

 昨年の鉱山業者からの税収は約20億ペソ(約39億円)。税収全体の約0・2%にすぎないといいます。政府案は、売上総利益の5%を「営業税」として徴収するものです。

 プリシマ財務相は12日の記者会見で、「国の富を活用するという政府の責任を果たす」と述べました。

インドネシア

 インドネシアは7日、天然資源開発企業の外資比率を49%以下に規制する大統領令を発表しました。天然資源は同国の輸出総額の約3割を占めます。

 各企業は、操業開始から10年以内に外資保有株をインドネシア政府、地方自治体、国内企業に売却します。

 同国は貧困層向けに燃料費、コメ価格、学費、交通費などを補助。政府は今年、「経済の安定と公共福祉を最優先する」としています。高額の配当金が見込まれる天然資源開発企業株の保有で、政府と地方自治体の財源が増える見通しです。


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