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2012年3月12日(月)

震災・原発事故から1年

野田政権を問う

冷たさ際立つ対応 進まぬ除染・賠償

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 東日本大震災・福島原発事故から1年。被災者の暮らしと生業(なりわい)の再建を支援し、原発事故の被害から国民の健康と暮らしを守り原発からの撤退を決断する―政治に求められる課題です。野田政権の姿勢が厳しく問われています。


 職も住居も失った被災者の暮らしに対し、野田内閣の対応は冷たさが際立ちます。

 失業手当の延長は打ち切りです。

 仕事を奪われた被災者の命綱なのに、国は失業手当で「就労意欲が薄れる」などと主張。「職に就けない人を見捨てるのか」と日本共産党の塩川鉄也議員が迫ると、「就労支援に力を入れる」(小宮山洋子厚労相)と的はずれの答弁で突き放しました。(2月1日衆院予算委員会)

 津波被害の大きい沿岸部では水産加工業などの復旧が進まず、求人は建設関係の短期・低賃金の仕事に偏る状況です。「意欲がないのではない。仕事がない」と怒りの声が広がっています。

 被災3県(岩手、宮城、福島)の失業手当受給者は6万人近く(昨年11月末)に上り、このままでは3月に7千人、9月末には全員が打ち切られます。収入のない失業者が大量に生まれかねません。

 「失業手当が切れれば、求職のために被災地を離れる人が増え、復興の担い手が失われる」(塩川氏)という切迫した状況です。

 2月末までとされていた医療・介護の自己負担免除でも、被災者は冷たい対応に苦しみます。

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員や田村智子参院議員らの申し入れ(1月18日)などに押され、国は一部延長を決めたものの、病院や介護施設の食費・居住費の免除は打ち切りました。

 「月3万円の負担になる」「デイサービスの利用を減らすしかない」との悲鳴が上がっています。

 いまなお3万人を超す被災者が仮設住宅などで避難生活を強いられ、負担能力を失ったまま健康が悪化する懸念に直面しています。野田政権には、被災地の現状を放置せず、被災者・住民の命と健康を守る責任があります。

 阪神・淡路大震災(1995年)後、被災者と国民の運動が政治を動かし、不十分ながらも国が個人の住宅再建を支援するようになりました。しかし被災した店舗や工場に対しては、仮設店舗への支援や「グループ支援」にとどまっています。家は残っても店舗や工場を津波に流された被災業者は、職を失ったまま、国民から寄せられた義援金も受け取れず、困難に陥っています。

 仕事の場を作り出し地域経済を再生させるためにも、被災業者に対する支援の抜本的拡充が必要です。個々の事業者の施設復旧と事業立ち上げを直接支援する制度が求められています。

 野田政権は昨年12月16日に強行した福島原発事故「収束」宣言を踏まえ、原発再稼働、原発輸出の再開・推進の道を突き進んでいます。

 政府は7日、住民同意を待たずに各地の原発再稼働の判断を行う方針を示しました。民主党の前原誠司政調会長は、日本経団連理事会での講演(2月21日)で、「短期的には…(原発を)再稼働させる必要がある」と明言しています。全国で54基の原発は52基が停止し、財界には巻き返しにむけた焦りも生まれています。

 福島第1原発では、いまも溶融した核燃料の状態を確かめるすべもなく、予断できない危険とのたたかいが続き、汚染水の処理も進んでいません。

 事故原因の究明は緒についたばかりで、地震による原発の被害そのものがまったく把握されていません。福島県ではいまも約16万人もの避難者(県内・県外)に帰還のめどはたっていません。

 広大な土地の除染対策も明確になっていません。環境省は1月、福島県内11市町村の除染に関する工程表を発表したものの、本格的除染が始まるのは今年度末から。政府が放射性物質の最終処分場や除染の財源を示さないことが最大の障害になっています。

 原発災害への賠償問題でも、東電に事故を起こした加害者としての自覚がなく、賠償は遅れに遅れています。東電が国から支援を受けたのは約1兆7000億円。ところが、2月末までに実際に支払われた賠償金は4282億円にとどまっています。被災者の精神的損害を含め、どう全面賠償するのか、国の責任は重大です。

 野田内閣は、再稼働や海外輸出を推進するため、原発存続を最優先し、責任逃れの姿勢を続け被害を小さくみせようとしているのです。


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