2012年3月10日(土)
和解成立 新たに30人
B型肝炎訴訟 遅れに不満も
注射器の使い回しによるウイルス感染で国に損害賠償を求めているB型肝炎訴訟で、新たに提訴した原告の意見陳述と和解協議が9日、札幌地裁(石橋俊一裁判長)で行われました。
意見陳述した札幌市の女性(58)は慢性肝炎を発症しています。2人の子も母子感染し、長女は中学卒業と同時に肝がんが見つかり、2カ月後に死亡しました。女性は「注射器使い回しで娘の命が奪われたことを、国はきちんと知ってほしい」と訴えました。
報告集会後の記者会見で、全国弁護団はこの日、国との個別和解が成立した被害者は未発症の感染者(キャリアー)4人、慢性肝炎15人、軽度肝硬変1人、肝がん8人(うち2人死亡)の計28人(原告数30人)であることを明らかにしました。これで札幌地裁での個別和解原告は、原告564人のうち60人となりました。
全国15地裁で進められているB型肝炎訴訟の原告は3116人(2月末現在)で、この日の30人を含めた個別和解成立は210人です。
北海道原告団の高橋朋己代表は「菅直人前首相が謝罪してから9カ月たつのに個別和解はなかなか進まない。原告は辛抱のしっぱなしです」と述べ、国が迅速に手続きを進めることを求めました。