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2012年3月10日(土)

原発再稼働問題

事故原因究明なしの見切り発車許されない

参院決算委 井上議員追及

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写真

(写真)質問する井上哲士議員=9日、参院決算

 9日の参院決算委員会で、原発の再稼働問題をとりあげた日本共産党の井上哲士議員。福島第1原発事故の原因究明も安全確認、重大事故対策も全く取られていない実態が浮かびあがり、再稼働の根拠が崩れました。


 井上氏は、これまでの原子力行政が電力会社の言い分にあわせて安全対策をおろそかにしてきたことを追及。班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長は「シビアアクシデント(過酷事故)対策は事業者の自主性に任せていた」「(福島第1原発事故を招いた)全交流電源喪失は、わが国では可能性が低いと真剣な検討はしてこなかった」として「深く反省している」と答えました。

報告は「推定」

 井上氏は政府が、津波が原因という電力会社の主張をうのみにし、津波対策さえ講じれば、現在停止中の原発の再稼働を認めようとしていることをあげ、こうただしました。

 井上 (福島第1原発で)地震による原子炉や配管の損傷がなかったと断言できるのか。

 枝野幸男経済産業相 地震によって基本的な安全機能が損なわれたという可能性を示す情報は得られていない。

 井上 政府の事故調査委員会の中間報告は「あくまで推定」で結論を出せないとしている。

 井上氏は、野田佳彦首相が再稼働について「事故究明、徹底調査がすべてのスタートの大前提」と述べていることを示し、「事故究明が途上なら再稼働などありえないではないか」と迫りました。

 首相 一定の知見が中間報告で出ている。ストレステスト、保安院と安全委員会でダブルチェックした上で、地元の理解を得ているかふまえて政治判断をする。

 井上 一定の知見だけではだめだ。また事故がおきたら「想定外」だったと言うのか。徹底した事故究明もなしに見切り発車は許されない。

欧州でも批判

 再稼働の条件としているストレステストはどうか―。

 井上氏は「散々情報隠しをやってきた(東電など電力)事業者がやり、一緒にやらせをやってきた保安院、安全委員会がチェックして誰が信じるのか」と述べ、ストレステストの中身についてただしました。

 保安院は、原子力安全委員会が求める総合的安全評価をストレステストとして1次と2次に分け、1次評価によって再稼働を判断するとしています。

 井上氏の質問に班目委員長は「総合的安全評価としては不十分で、(ストレステストは)2次評価までやっていただきたい」と答弁。井上氏は、「ヨーロッパでもストレステストに批判の声があがっている。1次評価はそれすら満たしていない不十分なものだ」と批判しました。

 保安院は2月、大飯原発(福井県)3・4号機の1次評価結果を「妥当」と判断しました。井上氏は、若狭湾岸は断層の巣といわれ、大飯原発付近の断層連動の可能性が調査されていることを指摘し、こうのべました。

 井上 断層の影響を調査中なのに「妥当」と結論を出した。「再稼働先にありき」ではないか。

 経産相 ストレステストをやったからそれだけで安全性が確認されるというものではない。

「重大な答弁」

 ストレステストで安全確認できていないことを認めた経産相。井上氏は、「重大な答弁だ」と指摘。敦賀原発(福井県)でも活断層が想定の2倍以上の地震を起こす可能性があることが、明らかになったと述べ、活断層の過小評価は許されないと強調しました。

 原発事故に対する対策はできているのか―。井上氏が「地域防災計画はいつ改定されるのか」とただすと、細野豪志原発事故担当相は「新しく法制度を発足させた上で、6カ月ほどかけて新指針をふまえた防災計画をつくっていただく」と答えました。

 井上氏は「原因究明も安全確認も事故後の対策もまだこれからだ。再稼働はやめるべきだ」と主張。しかし、野田首相は「厳しくチェックすると思う」などと無責任に答え、再稼働に向け「政治判断する」と居直るだけで、再稼働の道理のなさが浮き彫りになりました。


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