2012年3月6日(火)
国は応益負担廃止の合意守れ
障害者は新法望む
原告ら全国14カ所で会見
民主党政権が障害者自立支援法のごく一部を改正した法案を今国会に提出しようとする中、障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団は5日、全国14カ所で会見を開き、訴訟団と国が交わした基本合意どおり、応益負担を原則にした障害者自立支援法を廃止し、障害者が権利の主体となる新法をつくるよう訴えました。
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同訴訟は71人の障害者が2008年から09年にかけて、障害があるために必要とする支援を「益」とみなし、障害者に原則1割の「応益負担」を強いる障害者自立支援法は憲法に違反しているとして、14カ所で国・自治体を訴えました。訴訟団は10年1月、同法廃止と憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援する新法制定を約束した基本合意を国と交わし、和解しました。
東京都在住の元原告らは都内で会見。同訴訟弁護団事務局長の藤岡毅弁護士は、民主党政権が法の名称と理念の変更で「自立支援法は廃止となる」と主張していることにふれ、「同法の115条文のうち変更されるのはわずか2条文だ」と指摘。「『廃止』は虚偽だ」と批判しました。さらに、「国は裁判上の“和解調書”に違反する行為を強引にすすめようとしている」と怒りをあらわにしました。
元原告の深沢直子さん(45)の母親、智子さん(74)は基本合意文書が政府のすすめる障害者制度改革に大きな役割を発揮したとして「重度の障害のある娘の存在がうれしく、誇らしく思った。国が約束を反故にすることは許されない」と述べました。
元原告の家平悟さん(40)は訴訟で、妻に課せられた自身の利用料負担をめぐって争いました。和解後も、妻は利用料負担を強いられています。「民主党政権や厚生労働省は『すでに応能負担になっている』として利用者負担はそのままにしようとしているけど、私の問題はまったく解決されていない」と強調。「訴訟が全面的に勝利できるのは、私たちの望む新法ができるときだとの思いで運動をすすめてきた。これからも法案の中身を変えさせるよう引き続きがんばりたい」と話しました。