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2012年3月5日(月)

スペイン 労組反発

労働市場「改革」 権利の切り下げ

「競争力」論を専門家も批判

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 スペイン政府が、解雇手当の引き下げなど労働市場「改革」を進めていることに対し、労働組合が反発を強めています。企業が主張する「競争力強化」に呼応して労働者の権利を切り下げる動きには、専門家からも批判の声が出ています。(島田峰隆)


 政府が2月に決定した「改革」は、労働者を解雇した際に企業が支払う一時金を引き下げることや、産業別の団体交渉を経ずに労働者を解雇できる仕組みを導入することなどが内容。政府は、これにより労働市場の流動性が高まり、失業率が低下し、競争力が強化されて財政危機を打開できると説明しています。

 これに対し、同国の二つの労組全国組織である労働者委員会(CCOO)と労働総同盟(UGT)は「財政危機のツケを労働者に押し付けるな」と批判。両労組の書記長は2日、ラホイ首相に連名の書簡を送り、「改革」内容を修正する交渉に応じるよう求めました。

 両労組は、2月のデモ行進に続き、11日にも抗議デモを行う予定。3月か4月にはゼネストを実施することも検討し、国民に参加を呼び掛けています。

 一方、ラホイ首相は1日、「危機の時期には改革を断行しなければならない」などと語り、労組の要求には応じない姿勢です。

 労働市場「改革」はもともと、経営者団体が、かねてから要求してきました。ラホイ政権の動きは、それに呼応したものです。

 鉄鋼関連企業でつくる団体「コンフェメタル」は昨年11月、ラホイ氏率いる右派・国民党が勝利した総選挙後に文書を発表し、新政権への要望を列挙。「労働市場改革を表面的なもので終わらせてはならない」と述べ、「企業の刷新と競争力強化につながる法律」を求めていました。

 しかし、「競争力強化」を理由に労働者の権利を切り下げるやり方には、専門家からも批判の声が上がっています。

 マドリードにあるコンプルテンセ大学のフェルナンド・ルエンゴ氏は、地元紙に対し、「労働コストの引き下げで競争力が付き、その利益が労働者の生活改善に再投資されるという議論は、この30年間聞かされてきた話だ。成長の質に関する議論が欠けている」と批判。

 レイ・フアン・カルロス大学のミゲル・アンヘル・ガルシア氏も、政府の「改革」は「労働条件の切り下げを通じて特権を得ようとする企業の不誠実な競争」を招くと指摘しました。


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