2012年2月22日(水)
軍攻撃続くシリア
女性・子どもが虐殺された
軍事介入でなく政治支援を
ホムス在住の人権活動家 サリム・カッバーニさん語る
【カイロ=小泉大介】シリアで軍による激しい住民攻撃が続いていますが、同国政府は外国人記者の現地取材を基本的に認めていません。いま住民はどのような状況に置かれているのか、攻撃が最も激しい中西部ホムスに住む人権活動家の男性、サリム・カッバーニさん(23)は20日、本紙の取材に対し衛星電話で次のように語りました。
私が住むババアムル地区はホムスのなかでも最も被害が甚大な地区です。現在も迫撃砲やロケット砲まで使った攻撃が断続的に行われています。
軍の攻撃は無差別で、多数の女性や子どもも殺害されています。聖なるモスク(イスラム教寺院)も例外ではありません。激しい銃撃のせいで、負傷者を病院に運ぶことも、死者の埋葬も非常に困難な状態です。食料や医薬品も不足し、電話回線も多くが不通となるなど、まさに非人道的な惨劇が目の前で起きているのです。
アサド政権は「軍が攻撃しているのはテロリストだ」といいますが、実際に殺害されているのは子どもたちです。軍を離反した「自由シリア軍」がホムスでも活動していますが、彼らは住民への攻撃を拒絶しています。
政権側は(複数政党制導入など)憲法改正の国民投票を今月26日に実施すると表明しましたが、何の意味もありません。激しい攻撃が続くこのホムスで、一体どうやって投票できるというのでしょうか。反体制派との政治対話の必要性もいわれますが、これだけの虐殺の後でどのような対話が可能でしょうか。
政府や軍がいかなる攻撃をしても、民主化と自由を求める声を埋めてしまうことはできません。住民の最大の願いは、アサド政権の退陣と、住民を殺害した者たちを裁判にかけることです。ホムスの住民たちは、どんなに犠牲をはらっても、その目的のためにデモを続けるでしょう。
私たちは国際社会からの軍事介入は望んでいません。アサド政権との外交関係を断ち、反体制派組織を正当なシリアの政府の代表と認めるなどの政治的支援、財政的支援が必要です。激しい戦闘地域における安全回廊の設置など住民の安全に対する支援も不可欠です。
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