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2012年2月20日(月)

福岡生存権裁判

近所づきあい ぜいたくですか

最高裁でも画期的判決を

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 生存権裁判は、生活保護の老齢加算廃止処分取り消しを求めて全国9カ所でたたかわれています。高裁で原告が逆転勝訴した福岡訴訟(北九州市)は最高裁で口頭弁論が24日、開かれます。何が争点なのでしょうか。(岩井亜紀)


24日に口頭弁論

老齢加算の復活ぜひ

 70歳以上の利用者は同加算廃止で、月10万円足らずの生活保護費が約2割も減らされました。2004年4月に減額が始まり、06年4月に廃止となりました。

「1日2食で」

 原告の一人、渡邊脩さん(81)は、家族全員を戦争で失い、一人生き抜いてきました。足に障害を持ちながら70歳を過ぎるまで看板製作で生計を立ててきました。仕事が減り、72歳で生活保護を利用。そのころ、生活と健康を守る会に出合いました。「孤独な人生の中でやっと仲間ができた。この関係を大事にし、普通に暮らしたい」。そう思っていたときに老齢加算が廃止されました。「交際費捻出のため1日2食で過ごすことを余儀なくされた」と無念を語ります。

 福岡高裁判決は、生活保護は「単なる国の恩恵」ではなく「法的権利」だと明確に認めました。老齢加算の廃止は、「正当な理由」がなく不利益変更を禁止した、生活保護法56条に違反していると断じました。さらに加算廃止が「厚生労働大臣の裁量権を逸脱している」としました。

手続きに問題

 福岡生存権裁判の高木健康(たかき・たてやす)弁護団長は「福岡高裁判決は、画期的だ」と評価します。

 判決は、廃止に至る手続きを問題としました。

 同省の専門委員会は2003年12月16日、同加算を廃止の方向で見直すべきだとする「中間とりまとめ」を出しました。ただし、廃止と同時に、代替措置や激変緩和の措置を提言。そのわずか4日後、同省は代替措置など講じることなく、減額・廃止を決定してしまったのです。

 福岡高裁は短時日で廃止決定したことに注目。被告、行政側に廃止の結論に至った経過説明を求めました。これに対し被告は、まともに回答できませんでした。そのため高裁は「老齢加算廃止に至る手続きに問題がある」「不利益の変更」に「正当な理由がない」と原告勝訴の判決を出したのです。高木弁護団長は「被告は上告する以上、福岡高裁が求めた経過説明について適切な回答をすべきだ」と批判します。

 福岡訴訟は41人が提訴し、いま、36人に。この間、5人が亡くなりました。

憲法25条問う

 老齢加算廃止は、小泉「構造改革」の社会保障削減路線のもとで最も弱い生活保護を利用する高齢者を切り捨てたものです。

 高木弁護団長は「野田政権が社会保障と税の『一体改革』をすすめようとする中で最高裁が高裁判決を覆すことがあれば、社会保障削減が加速されかねない」と警鐘を鳴らします。

 憲法25条の2項は、国に社会保障の向上・増進を義務付けています。高木弁護団長は「生活保護法56条はこの規定に沿うものだ」と指摘。「私たち国民から見て福岡高裁判決こそ正当な判決だ。この判決を最高裁でも認めさせるために全力でがんばる」


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