2012年2月20日(月)
米海兵隊の駐留計画
豪議会で批判の声
経済の軍依存を懸念 ■ “米兵事件増えかねない”
オバマ米政権が海兵隊部隊の駐留を計画しているオーストラリアで、米兵による事件が増加し、地元経済も軍依存になりかねないと懸念する声が議会であがっています。現地メディアが報じました。
オバマ大統領は昨年11月に豪州を訪問し、同国北部への海兵隊駐留を2012年から開始し、16年までに2500人へ増強する方針を明らかにしました。
この計画について、ギラード政権与党・緑の党所属のラドラム上院議員が15日の上院予算委員会で批判を展開しました。
現在海兵隊が駐留している沖縄では、飲酒や麻薬、日本の法律の適用から免れている特権が原因となった暴力事件が続いてきた歴史があり、「米軍がきわめて嫌われている」と指摘。米海兵隊がオーストラリアに駐留すれば、同様な事件が増えかねないと批判しました。
これに対し政府側は、駐留による被害はわずかだとしつつ、地域社会への影響を調査する考えを示しました。
豪ABC放送によると、ラドラム氏はこうした懸念について「米国人への偏見ではなく、米軍が世界で、とくにこの(アジア太平洋)地域で実際に行っていることに基づくものだ」と説明。地元経済が軍へ過度に依存しかねない危険があることも指摘しました。
海兵隊の駐留については、ギラード首相率いる与党・労働党も、野党・保守連合(自由党、国民党)も推進の立場。駐留に批判的な緑の党は、上院(定数76)では9議席、下院(定数150)では1議席にすぎませんが、労働党の議席も下院では72議席しかなく、政権維持のためには、緑の党の協力は欠かせません。(田中一郎)