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2012年2月20日(月)

主張

障害者新法

合意違反の暴挙は許されない

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 障害者の生存権を脅かす悪法だとして廃止が求められた「障害者自立支援法」に代わる新しい法律制定に向け厚生労働省が明らかにした法案概要に、障害者らが怒りの声を上げています。

 民主党政権が自立支援法廃止を約束したにもかかわらず、法「改正」にとどめようとしているからです。障害者を先頭にしたたたかいのなかで政府が廃止を確約した悪法を存続することなど、絶対に許されません。政府は存続案を撤回し、自立支援法を廃止して新しい障害者総合福祉法の制定に踏み切るべきです。

公的合意までも反故に

 自民・公明政権が2006年に導入を強行した障害者自立支援法は、障害者が生きていくために不可欠な支援を「益」とみなして、障害者に原則1割の「応益負担」を強いる過酷な制度です。障害者ら71人が全国14の地方裁判所に「生存権の侵害であり憲法に違反する」と違憲訴訟に立ち上がるなど、幅広い国民的なたたかいが急速に燃え上がりました。

 09年の総選挙で「自立支援法廃止」を公約に掲げた民主党政権は、原告・弁護団と、同法が「障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」ことを「心から反省」と明記した「基本合意文書」を結び、自立支援法廃止と新法制の実施を約束しました。「障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援する」などと規定しています。障害者と家族、関係者の切実な声と運動が政治を動かした合意を受け、違憲訴訟は和解し終結しました。

 同時に、障害者が当事者として会議メンバーに加わった「障がい者制度改革推進会議」と「総合福祉部会」が政府の推進本部のもとに設置され、昨年8月、総合福祉部会が新たな法制の「骨格提言」を取りまとめました。障害者権利条約と「基本合意」を踏まえ▽障害のない市民との平等と公平▽すべての障害者を対象にした施策の充実▽経済協力開発機構(OECD)諸国並みの安定した障害者福祉予算の確保―を柱にし、障害にともなう必要な支援は原則無料を打ち出すなど障害者の願いを集約したものです。

 ところが厚労省が示した法案概要は、原則無償化を見送り、対象とする難病患者の拡大も一部にとどめました。「骨格提言」が廃止を求めていた「障害程度区分」も盛り込んでいます。障害者を6ランクに分け、機械的にサービスの内容を一方的に決め、利用制限の手段とされているものです。障害者の生活実態や支援の要望が反映されない仕組みです。障害者・家族の総意を無視した姿勢は、許されるものではありません。

基本合意の完全実現を

 自立支援法を廃止することは民主党の公約だというだけでなく、政府として障害者・原告・弁護団と文書で交わした約束です。それを反故(ほご)にするのは、裁判の和解項目を当事者の国が否定するという司法のあり方から見ても異常な事態です。

 障害者と家族との合意を破り当事者の願いに逆らう法案づくりなど言語道断です。障害者自立支援法を廃止し基本合意を完全に実施するため、「障害者を保護の対象から権利の主体へと転換」することを理念にする「骨格提言」にそった新しい法律を実現すべきです。


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