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2012年2月12日(日)

主張

後期高齢者医療

弊害だらけの制度即刻廃止を

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 75歳以上の高齢者などを対象にした後期高齢者医療制度の4月からの保険料が、都道府県ごとの広域連合で決められています。東京都では1人当たり平均保険料を年8731円も引き上げ9万3258円にするなど、各地で大幅アップの動きが顕著です。2008年の制度開始から5年、高齢者に重い負担を強いる実態が浮き彫りになっています。存続すればするほど高齢者に犠牲を強いる制度は速やかに廃止するしかありません。

滞納者28万人以上

 約1400万人が加入する後期高齢者医療制度は、国保や健保の加入者が75歳になったとたんそれまでの公的医療保険から切り離され、独立した制度に囲い込まれる差別的な仕組みです。保険料は2年ごとに決められ、今回は2回目の改定です。3月までに開かれる広域連合議会で決定されます。

 前回改定では、国民の世論と運動によって、保険料を引き下げたり、据え置いたり、引き上げても5%以下に抑制する努力を行った広域連合が多数でした。しかし、今回は様相が一変し、大幅引き上げに踏み切るところが相次いでいます。

 東京都は前回改定の上げ幅4165円(4・9%)を大きく上回り、10・3%もの負担増です。前回166円引き下げた神奈川県は今回4836円もアップし9万560円としました。埼玉県も前回2621円引き下げましたが、今回は、その引き下げ額を“帳消し”にする3334円もの引き上げを行い7万5058円にする方針です。(いずれも平均保険料)

 保険料の徴収は年金からの「天引き」を基本としていますが、年金収入の低い人などは、自分で納めます。そうしたなかで、保険料を払いきれない人も生まれ、昨年6月時点の滞納高齢者は全国で28万5000人以上にのぼります。有効期間が短い短期保険証の交付者数は2万人以上に達します。

 保険料取り立ても厳しく、約2400人が差し押さえられています。東京都目黒区では、83歳の高齢者の振り込まれた国民年金2カ月分13万円がいきなり差し押さえられました。保険料引き上げが、滞納者数をますます増やし、高齢者を必要な医療から排除する深刻な事態を生みかねません。

 保険料が大幅引き上げとなるのは、この制度が75歳以上の人口と医療費が増えれば増えるほど、保険料引き上げに跳ね返る仕掛けになっているからです。導入当時の厚生労働省担当幹部は「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自らの感覚で感じ取っていただく」とその狙いを語っていました。高齢者に我慢と犠牲を強いる冷酷な制度の存続はこれ以上許されません。

差別の存続は許されない

 岩手県では「大震災からの復興に向けた取り組みを後押しするため、被保険者の負担増を回避することが緊急の課題」として剰余金などを活用して保険料率を据え置きました。国は負担軽減に努力する広域連合を支援すべきです。

 4月からは介護保険の保険料も全国平均で月5000円以上に跳ね上がり、年金支給額は4月分から段階的に減額されます。二重三重に高齢者を苦しめることはすべきではありません。高齢者を苦しめる制度は直ちに廃止し、元の老人保健制度に戻すべきです。


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