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2012年2月6日(月)

国連決議 ロ・中が拒否権

シリアに民主的政体求める内容

安保理 直前までの調整実らず

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 【ワシントン=小林俊哉】国連安全保障理事会は4日、政府当局と反政府デモの衝突が続くシリア情勢をめぐり、同国に「民主的な政体への移行」を求めた決議案を採決し、15理事国のうち、13カ国が賛成しましたが、拒否権を持つ常任理事国のロシア、中国の反対で否決されました。


 同決議案は、アサド大統領の権限移譲などを求めてアラブ連盟(21カ国と1機構)が先月採択した「行程表」を支持する内容。シリア政府と反政府派の政治対話を促すとともに、すべての当事者に暴力の即時中止を求めています。

 報道によると、決議案からは、アサド大統領に対して退陣を要求した部分はロシアの反発を受けて削除されました。また軍事行動を認めないことを明記した一文が盛り込まれました。

 ロシアのチュルキン大使は、「暴力はただちに中止されなければならない」と主張した上で、同決議案について「残念ながら、当初から一部の有力国が政治的解決を妨げ、シリアの体制転覆を要求してきた」と批判。ロシアのラブロフ外相が7日にシリアを訪問し、アサド大統領と解決策について協議するとして、今回の決議案は現実を正確に反映していないと述べました。

 中国の李保東国連大使も、暴力の中止の必要性を指摘した上で、「すべての当事者が参加する政治プロセスが必要だが、同時にシリアの主権、独立は最大限に尊重されなければならない」と主張。今回の決議案は「シリアにおける政治対話のプロセスに前もって内容を押し付けるものだ」と批判しました。

 これに対し、米国のライス国連大使は中ロ両国の主張を「空虚な議論だ。(ロシアが)アサドに武器を供給していることを考えれば、この頑迷さは恥ずべきものだ」と批判。モロッコの代表も「(否決は)非常に残念だ」と述べました。

 国連によると、昨年3月以来、シリアでの衝突による死者は5000人を超えるといわれます。同日は採決の直前まで決議案文の調整が続きましたが、米欧とロシアの間で溝は埋まりませんでした。

 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は同日、決議案の否決は残念だとする声明を発表しました。


 拒否権 国連安保理の常任理事国5カ国(米英仏ロ中)には、自国1国だけの反対で安保理の決議を不成立にさせられる特別の権限が与えられており、拒否権と呼ばれます。根拠は国連憲章27条。安保理での決定は常任・非常任理事国を合わせた全15カ国中、「常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成投票によって行われる」と定めています(理事会開催時期などの議題を除く)。


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