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2012年2月6日(月)

首相に選挙制度語る資格なし

これでも「比例削減は民意を切り捨てない」か

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 「比例定数削減が民意を切り捨てるとの認識には立っていない」――衆院代表質問(1月27日)で、日本共産党の志位和夫委員長が、衆院比例定数80削減を強行すれば「多様な民意を切り捨てることになる」と批判したのに対し、野田佳彦首相はこう答弁しました。首相が“認識”していなくても、事実は明確です。


事実でみても

「過剰代表」と大量の「死票」

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 2009年総選挙の結果で見ると、小選挙区選挙では47・4の得票だった民主党が73・7%の議席を獲得するという「過剰代表」となりました。自民党が大勝した05年の総選挙では、同党は47・8%の得票で73%の議席を占有しました。

 一方、現行の衆院480議席が仮にすべて全国単一の比例代表区だと仮定すれば、日本共産党は得票率7・03%(09年総選挙)で34議席を獲得できる計算です。しかし、現行の制度(比例180、ブロック制)では9議席しか獲得できません。現行制度のまま比例定数が80削減されれば、4議席へと“後退”します。

 民意の切り捨ては、これだけではありません。小選挙区で当選に結びつかなかったいわゆる「死票」は、09年総選挙で約3270万票(投票総数の46・3%)に達しました。しかも、全国300小選挙区のうち87選挙区では「死票」が過半数を占めました。これらの「死票」には、切実で多様な民意が含まれています。

 このように、現在の小選挙区制中心の選挙制度のもとでも民意が大きく切り捨てられている事実さえ認めない野田首相には、選挙制度を語る資格はありません。

従来説明からも

「比例代表は民意の反映」

 もともと、小選挙区制導入を議論するさいに、推進勢力は「小選挙区によって民意の集約を図っていく、そしてまた比例制によって多様な民意の反映を図っていく、集約と反映ということが相まって、相補う形で実現をされていく」(細川護(もり)煕(ひろ)首相=当時、1993年10月4日、衆院予算委員会)と説明していました。

 以来、自民党であれ、民主党であれ、「小選挙区は民意の“集約”、比例は“反映”」だなどと説明してきたはずです。

 ところが、導入時は200議席だった比例定数が、2000年の法改悪で20削減され、現在の180になりました。それをさらに80削減するなら、出発時の半分となり、「民意の反映」だけが大きく切り捨てられることになります。

 「比例削減は民意の切り捨てにならない」という野田首相の強弁は、こうした経緯に照らしても成り立ちません。

国民の声からも

少数党の排除は逆行

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 「朝日」の世論調査(昨年12月30日付)では、「いまの日本の政治は、国民の意思をどの程度反映していると思いますか」という問いに対し、「あまり反映していない」が59%、「まったく反映していない」が21%で、合わせて80%に及びました。世論の8割が、政治に民意が反映されていないと感じているのです。

 同調査では、「これからの日本は、二大政党化がさらに強まるほうがよいと思いますか、それとも、それ以外の政党が勢力を伸ばすほうがよいと思いますか」とも問われ、これには51%が「それ以外の政党が勢力を伸ばす方がよい」と答えています。

 日経ビジネスオンラインの「世論調査」(昨年12月7日)では、「『1票の格差』を是正するだけでなく、選挙制度を抜本改革すべき」が75・2%を占め、TBSの調査(同12月3、4日)では「今の制度を抜本的に見直す」が62%となっています。

 こうした世論に照らしても、もっとも民意を反映する比例定数を削減して少数政党を国政から締め出すことは、まったくの逆行です。

 衆院の選挙制度に関する各党協議でも、自民、民主両党以外の各党が抜本改革を求めています。

 民主党議員のなかでさえ、「民意と政治の乖(かい)離(り)をどうするかが政治の中心問題になっているときに、比例80削減というのはひどすぎる」という声があります。

 小選挙区制が政治の劣化の原因だとして抜本改革を主張する自民党議員の一人は、「少数政党も一定の議席を確保できるようにし、連合政治で政治の成熟を進めるようにするべきだ」と述べています。


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