2012年2月4日(土)
大量虐殺犯罪
ポト派元所長 終身刑
カンボジア特別法廷 初の判決確定
【プノンペン=面川誠】カンボジアの旧ポル・ポト政権(1975〜79年)による大量虐殺を裁く特別法廷の上訴審(最高裁)は3日、プノンペン市内にあったトゥールスレン収容所の元所長カン・ケ・イウ被告(69)に対し、最高刑となる終身刑を言い渡しました。これにより、特別法廷での判決が、初めて確定しました。
トゥールスレン収容所では、少なくとも1万2273人が収容され、拷問や処刑により殺害されました。
2010年7月の一審判決は、同被告の人道に対する罪(政治的迫害、拷問、大量殺人など)とジュネーブ諸条約(1949年)違反(戦争捕虜の拷問・殺害、市民の不法監禁など)を認定。同被告に対し、禁錮35年を言い渡していました。
これに対し、終身刑を求めていた検察側と、「元所長は特別法廷で裁かれるべき『最高幹部』や『重大な責任者』ではない」と主張する弁護側の双方が上訴していました。
最高裁判決は、他の最高指導者が被告より重大な罪を犯したとしても、それが被告の罪の重さを減ずる理由にはならないと指摘。残虐行為の再発を防止するためには罪の重さに相当する厳罰が必要だとして一審判決を破棄し、最高刑が相当だと断じました。
最高裁判事は7人で、カンボジア人が4人、外国人が日本の野口元郎氏を含む3人で構成。裁判長はカンボジア人のコン・スリム判事が務めました。
2009年2月に始まった公判は、のべ3万人以上が傍聴しました。
カンボジア特別法廷 1970年代の旧ポル・ポト政権による犯罪を裁くため、国連の支援を受けるカンボジア国内法廷として2006年に活動を開始。二審制。カンボジアは死刑廃止国のため最高刑は終身刑。「第1ケース」のカン・ケ・イウ元収容所長に続き、「第2ケース」ではヌオン・チア元人民代表議会議長(85)らの公判が進行中。