2012年1月28日(土)
米国防総省が予算方針
地上部隊10万人減も
アジア太平洋地域は兵力維持
【ワシントン=小林俊哉】パネッタ米国防長官は26日、国防総省内で記者会見し、軍事費の抑制に向け、陸軍と海兵隊の10万人削減策など、予算要求に向けた基本方針を表明しました。一方で、アジア太平洋地域を重視するとして、同地域では兵力規模を維持する方針です。
パネッタ氏は、2013会計年度予算として、戦費を除く国防予算5250億ドル(約40兆7000億円)を要求すると述べました。今年度要求額より60億ドル削減され、01年の9・11同時テロ以来、初の削減となります。ただ、14会計年度以降は予算は増加させ、17会計年度には5670億ドルとする計画です。
戦費要求額は、昨年の1150億ドルから884億ドルに減額するとしています。大半がアフガニスタン戦費です。
国防総省は、10年間で4870億ドルの予算節約を進めています。オバマ政権は今月、中国の台頭も背景に、アジア太平洋地域を重視する新しい国防指針を発表しており、今回の発表は予算面での具体化となります。
国防総省によると、陸軍は、欧州駐留の2旅団の廃止など、今後5年間で8万人減の49万人、海兵隊は2万人減の18万2000人規模にまで削減します。
海軍では、巡洋艦7隻などの退役を早めます。F35戦闘機については、調達を一部先送りするとしました。
一方で、特殊部隊は増員し、無人機は導入する分野を広げる方針です。
また、アジア太平洋地域を重視するとして、「太平洋での海兵隊の展開水準は維持する」(パネッタ氏)としています。海軍や海兵隊、在韓米軍の兵力は維持する一方、豪州などに海兵隊を配備します。米軍の展開のため、フィリピン政府との協力も促進するとしています。
軍事費の削減には、議会の強い反発が予想されます。下院軍事委員会のマキーオン委員長(共和党)は、今回の発表を「米国の弱体化というオバマ氏の未来像を反映している」と反発しています。