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2012年1月26日(木)

主張

経済財政の中長期試算

大増税への“テコ”許されない

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 内閣府が24日の閣議に提出した経済財政の中長期試算は、消費税率の10%への増税計画にとどまらず、いっそうの税率引き上げをあおる意図が見え透いています。

 「試算結果」によると民主党政権の計画通りに消費税を2014年に8%、15年に10%に引き上げたとしても「財政運営戦略」の目標を達成できないとしています。

 「財政運営戦略」の目標達成には、20年度までに、さらに消費税率6、7%分の財源が必要になるという計算です。

「やらせ」の財政試算

 試算は極めて恣意(しい)的です。経済成長率(名目)が低いほど法人税や所得税の税収は少なくなりますが、財政の試算については20年度までの平均で1%台半ばという低成長を基本に置いています。国債の利率を示す長期金利は高いほど国債の利払いが増えて財政は苦しくなりますが、試算は長期金利が20年度には経済成長率の倍近くにはねあがると想定しています。

 財政赤字が膨らまざるを得ない前提を置いた試算は、さらなる消費税増税をあおる「やらせ」というほかありません。

 何より、政府が先月24日に閣議決定した「日本再生の基本戦略」は、11年度から20年度まで「平均で名目成長率3%程度」を掲げています。それにもかかわらず、財政の試算では1%台半ばの成長率を想定するのは、みずからの成長戦略によほど自信がないとしか思えません。

 他方で試算は消費税増税の経済への影響について、増税前の「駆け込み需要」と増税後の「反動」を織り込んでいるだけです。これは増税前と増税後でならせば影響はゼロという財務省ばりの非現実的な設定です。消費税率の引き上げ幅の5%、13兆円増税の家計消費と経済への大打撃を「想定外」に置いた試算は論外です。試算というなら消費税増税の13兆円や年金支給額の切り下げなども含めた総額16兆円の国民負担増の影響をまともに試算すべきです。まともに試算するなら、暮らしと経済が奈落の底に突き落とされ、税収も落ち込んで経済も財政も大混乱に陥ることが明らかになります。

 民主党政権が10年6月に決めた「財政運営戦略」は、もともと消費税増税を予定した反国民的な中身です。しかも、東日本大震災という未曽有の災害に襲われた後も修正すらせず、無理な目標と消費税の大増税を国民に押し付けています。

 消費税率10%を打ち出した「社会保障・税一体改革素案」は、税率10%にとどまらず、財政状況などを踏まえて「次の改革」を実施すると明記しています。いっそうの消費税増税のための「法制上の措置」を今国会に提出する消費税増税法案の「付則」に盛り込み、10%を超える税率への一本道を固めようとしています。

大失政を繰り返すな

 すでに岡田克也副総理が年金の「抜本改革」に必要な財源は10%に入っていないから「さらなる増税は当然必要」とのべ、藤村修官房長官も追認しています。際限のない消費税増税への道です。

 1997年、当時の橋本内閣は消費税増税の影響を過小評価し、消費税など9兆円の国民負担増を強行して経済・財政ともに危機に陥れました。日本経済には2度目の、もっと大きな失政を許す余裕はありません。


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