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2012年1月19日(木)

中医協が診療報酬改定骨子

医師会 再診料引き上げ要求

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 厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)は18日の総会で、2012年度診療報酬改定の骨子をまとめました。病院勤務医の負担軽減や在宅医療充実などを重点課題に掲げる一方、診療所の窮状の打開策はなく、入院患者の追い出し策も盛り込まれています。

 診療報酬は、2年に1回見直される医療の公定価格。中医協は、2月中旬に具体的な価格の改定案を答申する予定です。

 18日の総会では、日本医師会など診療側の委員が、前回改定で引き下げられた診療所の再診料を710円に戻すよう求めました。しかし、保険者側の一部は逆に「引き下げるべきだ」と主張し、折り合いませんでした。診療所の再診料の引き上げについては骨子本体に言及はありません。

国民切望の医療再生と程遠く

 2012年度診療報酬改定に向け、中医協がまとめた報酬配分の骨子は、国民が切望する医療再生とは程遠いものとなりました。

 「入院から在宅へ」という方針のもと、在宅療養支援診療所・病院などへの評価を強化する項目が並んでいます。一方で、長期入院患者の退院を促す施策が盛り込まれています。

自己負担に転嫁方針

 現行でも一般病棟に90日を超えて入院すると、病院が受け取る報酬が大幅に減額される仕組みがありますが、その例外となる患者が認められています。

 ところが骨子は、特定の一般病棟(患者15人または13人に対し看護職員が平均1人の病棟)でこの例外制度を廃止し、入院90日超の患者に対する医療費削減を強める新しい仕組みを打ち出しています。

 また、患者が紹介状を持たずに一定の大病院を受診した場合、病院が受け取る初診料を引き下げ、その分を保険外の自己負担に転嫁する方針を盛り込みました。

 「医療から介護へ」の方針による改悪も含まれています。維持期リハビリテーションのうち脳血管疾患等・運動器リハビリについては、「改善が期待できる」と判断されなければ、報酬を下げます。さらに介護保険の在宅サービスへの移行を進め、医療保険でみるのは「原則次回改定(14年度)まで」としています。介護保険の在宅サービスでは保険のきく範囲に限度額があり、それ以上受けたい場合は全額自費になります。

診療所の窮状に拍車

 民主党は、政権交代前、自公政権下での「累次の診療報酬マイナス改定が地域医療の崩壊に拍車をかけ」たと強調。医療費引き上げを約束していました。

 ところが、民主党政権初の10年改定での引き上げ率はわずか0・03%。しかも、特定分野への重点配分の結果、地域医療を担う診療所の再診料が710円から690円へと下げられ、診療所の窮状に拍車をかけていました。

 13日の中医協では京都府医師会の安達秀樹副会長が、「地域医療を支えている診療所の体力を奪うことは、病院勤務医の負担軽減という改定趣旨にも反する。再診料を戻すべきだ」と強く主張。18日の中医協では、パブリックコメント(意見公募)にかける骨子に、13日に出された意見を参考として添付することを決めました。

 全国保険医団体連合会は14日、中医協に「診療所の再診料を本格的なマイナス改定実施以前の水準(740円)まで回復」させ、中小病院の再診料もそれに合わせるよう求める要望書を提出しています。(藤原直)


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