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2012年1月19日(木)

大飯原発

保安院、再稼働は「妥当」

福島事故原因不明のまま

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(写真)関西電力の大飯原発(右から3号機、4号機の原子炉格納容器)=福井県おおい町

 経済産業省原子力安全・保安院は、定期点検で停止中の原発の再稼働のための手続きとなる「ストレステスト」(耐性試験)について、関西電力から提出された大飯(おおい)原発(福井県おおい町)3、4号機の評価結果を審査した結果、「妥当」とする素案をまとめ、18日開かれた専門家の意見を聞く意見聴取会に提出しました。聴取会は傍聴者の抗議で予定時間が過ぎても開けず、「透明性」を掲げていたにもかかわらず、傍聴者を排除したうえで約3時間半後の午後8時前にようやく開会しました。ストレステストの問題点などを指摘してきた2人の委員は傍聴者を締め出したことを理由に欠席しました。

 ストレステストは、東京電力福島第1原発事故後、政府が各地で停止中の原発の再稼働について国民の理解が得られないとして新たに導入しました。これまでに14基の評価結果が電力会社から提出されていますが、保安院が審査結果を示したのは初めてです。

 大飯原発3、4号機について関西電力は、設計上の想定を超える地震、津波に原発がどこまで耐えられるかについてコンピューターを使って評価した結果、想定する地震の1・8倍、津波は想定の4倍の11・4メートルまで安全性の余裕があるとしました。

 保安院は、関電の地震評価に対し、「地震の揺れの想定や評価対象設備の選定、経年劣化の評価などが適切にされている」との見解を示し、津波に対しても同様に判断しました。福島第1原発事故後に実施された緊急安全対策についても、関電の評価結果の妥当性を認めました。

 今後、保安院は意見聴取会で出された専門家の意見を踏まえてまとめたものを原子力安全委員会に報告し、確認してもらいます。月末に国際原子力機関(IAEA)から助言を受けることになっています。

 これまでの意見聴取会で専門家からは、「福島第1原発事故が起こったのは従来の安全審査の欠陥を示している。その見直しをしないままのストレステストはおかしい」と、審査を保安院と安全委員会がやる従来の枠組みについて批判が出されました。また、原発メーカーから寄付を受けた大学教授が意見聴取会委員として名を連ねるなど審査の中立性への疑問もたびたび指摘されています。

 審査に判断基準がないため、「事業者が答案を書いて自分で合格点をつけたものに、合否の判断は主観的だ」との批判もされています。

机上のテストで「安全」は乱暴

 猿橋巧・おおい町議の話 福島第1原発事故の原因や教訓が明らかにされていない段階で、コンピューター上のテストで安全を確認するというのは乱暴すぎます。

 大飯原発が立地する若狭湾は、多くの活断層があります。過去に大規模な津波もあったとされ、関電が行った調査は専門家から不十分と批判されています。このような状態で安全といわれても住民は安心できません。

 電力供給を増やすために3、4号機を再稼働しようとする電力会社の意向に沿って国がお墨付きを与えていいとは思えません。

 現在、原発の是非そのものが問われています。不十分なテストで再稼働などもってのほかです。

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