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2012年1月15日(日)

被災者の医療・介護の負担

「減免延長を」高まる声

仮設で低年金 生活ぎりぎり

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 東日本大震災の被災者に実施されている医療費の窓口負担、介護保険の利用者負担の減額・免除措置が2月末で切れることから、延長・継続を求める声が市民や医療、介護関係者の間で高まっています。


 被災地では、多くの被災者が収入の道を断たれ、生活の再建すらままならない状況です。将来への不安を抱え、長引く避難生活で疲労が蓄積。体調不良や持病の悪化などが広がり、長期にわたる医療が必要とされるもとで、被災者への窓口負担の免除措置がとられてきました。

歯科受診増える

 宮城県では窓口負担免除のもとでとりわけ歯科受診が増え続け、昨年9月には前年比で15%増(診療報酬の支払い額)です。

 「今まで歯科にかかったことがない人や、何年も治療を我慢し重症になった人などがかなり受診しているのが特徴です。沿岸部の再開した歯科医院などに患者さんが殺到しています」。宮城県保険医協会の井上博之副理事長(歯科医師)はこう話します。「この事態は、窓口3割負担が重すぎて、とくに歯科では受診したくてもできない状態が広がっていたことを示している」と井上さん。

 医療者側は、免除措置が2月末で切れると治療が終わらないまま患者が受診できなくなるのではないかと心配し、患者からも2月末までに治療が終わらなかったら、と不安の声が上がっているといいます。

 同県保険医協会を中心にこの間、国にたいし被災前の生活に戻るまで免除措置の延長・継続を求める請願署名活動を展開。「かつてなく署名がどんどん集まる状況」(井上さん)で、昨年末には1万5千人分を国会に提出しました。同県議会でも12月、国に免除の期間延長を求める意見書を全会一致で可決しています。

国あての意見書

 福島、岩手両県議会でも同趣旨の国あての意見書を可決。20日には東北6県の保険医協会が一緒に東北選出の国会議員に要請行動を行う予定です。

 被災者にたいする介護サービス利用料一部負担金(介護施設・事業所での窓口負担)減額・免除の扱いも2月末が期限とされています。

 宮城県民主医療機関連合会、宮城県社会保障推進協議会、宮城県保険医協会、特定非営利活動法人介護サービス非営利団体ネットワークみやぎ、21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会(21・老福連)の5団体は12月、国の措置として利用者負担減額・免除の期間延長を求める小宮山洋子厚生労働相あての要望書を出しました。

 同省の担当者に申し入れを行った宮城民医連の小野ともみ介護福祉部長(高齢者福祉施設宮城野の里施設長)は、「津波で家を流され、仮設や借り上げ住宅などで生活している高齢者の多くは年金も低く、ぎりぎりの生活を強いられている」と指摘。「そこへ1割の利用料の自己負担となれば現在使っている介護サービスも控えてしまう。なんとしても延長が必要」と訴えます。

10室が相部屋に

 福島県郡山市の特別養護老人ホーム「おおつき」(全室個室で定員100人)は、原発の被災から避難している高齢者10人を受け入れ、10室が相部屋に。森田たき子処遇部長は、「相部屋では狭いうえ利用者はプライバシーの面などかなり無理を強いられています。そんな状況で減免措置が2月末までなんてとんでもない」と、期間の延長を求めています。


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