2012年1月14日(土)
被害救済基金創設を
横浜地裁 アスベスト訴訟結審
5月に判決
建設現場でのアスベスト(石綿)曝露(ばくろ)によって肺がん、中皮腫、石綿肺などの健康被害を受けた神奈川県の建設労働者と被害者の遺族87人が国と建材メーカー44社を相手に損害賠償を求めている訴訟が13日、横浜地裁(江口とし子裁判長)で結審しました。判決は、5月25日に言い渡されます。
裁判は、発がん性など石綿の危険性を知りながら利潤追求を優先しアスベスト含有建材を供給してきた建材メーカーと、その使用を積極的に推進した国の責任を問うものです。
この日の意見陳述で、平田岩男原告団長は、裁判の原告患者75人のうち原告団長だった杉山忠雄さんを含め半数が亡くなっていると証言。「子どもたち、将来の若者たちにアスベストの恐怖を残していきたくはない」と訴え、国と企業が責任を認め「被害者救済基金」制度をつくるよう求めました。
原告弁護団は、国が規制権限の行使を怠った違法性やアスベスト含有建材を普及・促進してきた事実を指摘するとともに、仕事だけでなく楽しく平穏な日常生活まで奪われている原告らの実態を告発しました。
国が原告に断りもなく労災申請の際の申立書などを証拠として急に出したことについて、阪田勝彦弁護士は、個人情報の目的外使用であり、却下するよう裁判長に要求。裁判長は証拠として採用しませんでした。