2012年1月13日(金)
雇用 国内に戻せば減税
オバマ大統領 経済界へ提案
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は11日、ホワイトハウスで経済人との会合を開き、雇用を海外から米国内に取り戻すための税制措置を提案する考えを表明しました。
安価な労働力を求めて雇用を海外に移転する大企業の姿勢には、労働界から強い反発が出ています。大企業の海外への移転によって地域経済も大きな打撃を受けることから、国内での雇用創出は、労働者とともに、地域の中小企業にとっても、強い要求となっています。
オバマ氏は「雇用を国内に戻し、米国に投資する企業に報いる新しい税制を、数週間のうちに提案する。同時に、職を海外に移転する企業への税控除措置は廃止する」と述べました。
具体策については、1月下旬の一般教書演説に盛り込まれるとみられますが、野党・共和党が多数を握る下院で理解が得られるかは不透明です。
オバマ大統領は、2010年1月の一般教書演説で、「5年間で輸出を倍増し、それを通じて200万の雇用増をはかる」と表明。以後、輸出増を狙い、国内産業と国内雇用の増加を一体化させる政策を取ってきました。自由貿易協定などの拡大もその一環と位置付けてきました。
オバマ氏は「米国が金融投機と、他国から商品を買って借金ばかり増やす国として有名であるということは望まない」と述べ、金融と消費に偏重した経済のあり方の見直しの必要性も合わせて指摘しました。
12年は大統領選の年です。野党・共和党の予備選で有利なたたかいをすすめるロムニー前マサチューセッツ州知事は、投資会社の経営者として職を海外に流出させたと他候補から批判されています。米メディアは、こうした状況も、今回の提案の背景にあると報じています。