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2012年1月7日(土)

政府の規制法改定案

老朽原発運転を容認

電力会社申請で40年超も

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 細野豪志原発事故担当相は6日記者会見し、運転開始から40年を超える原発の運転継続の例外化を認めるなどとした原子炉等規制法改定案の骨子を発表しました。改定案は次期通常国会に提出されます。


 改定案は、原発の運転期間を原則40年間とする制限制度を導入。電力会社から延長申請があった場合に、経年劣化の評価や安全を維持できる技術的能力などを審査した上で、例外的に運転継続を認めるとしました。継続認可は原子炉1基につき1度だけで、電力会社は延長年数を指定して申請します。

 原発の高経年化(老朽化)対策としては、従来も経済産業省原子力安全・保安院が運転開始から30年を経過した原発を対象に、10年ごとに評価を行った上で運転を許可してきました。新制度での具体的な審査基準は固まっていません。

 既に、日本原電敦賀原発1号機と関西電力美浜原発1号機が40年を超過しており、今後も該当する原発が増えるため、経過規定が設けられる見通しです。

 このほか、最新の技術的知見を安全規制に取り入れるため、新しい基準ができた場合には自動的に既存の原発も適合させるよう電力会社に義務付ける「バックフィット」制度を導入。電力会社に一義的な災害防止の義務があることも明示しました。

 改定案は、同法の目的から「原子力の開発及び利用の計画的遂行」という文言を削除。新たに「放射性物質の異常放出防止」を明示しました。


解説

危険性 いっそう大きく

 6日に公表された原子炉等規制法改定案は、これまで明確にしていなかった原発の寿命について40年としました。しかし、例外を認めることを最初から盛り込むなど、これからも老朽原発の酷使を続けようとする意図がすけてみえます。

 老朽原発は、運転中に燃料から放出される中性子によって圧力容器の鋼鉄がもろくなるほか、設備や配管にもさまざまな問題が生じるため、危険性がいっそう大きくなります。福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1〜3号機のうち、最も損傷が大きいとみられる1号機は、運転開始から40年を超える日本でも最も古い原発の一つでした。

 改定法案では、運転開始から40年を超えても、技術的評価をクリアすれば、運転が認められるとしています。これまでも、運転開始から30年以上たった原発は10年ごとに経済産業省原子力安全・保安院が技術的評価を行うことになっています。

 こうした手続きを経て、福島第1原発1号機のほか、運転開始から40年を超えた日本原電敦賀原発(福井県敦賀市)1号機の運転が認められてきました。運転継続が認められなかった例はありません。

 老朽原発に限らず、原発の危険性は福島第1原発事故で明らかです。原発に依存しないエネルギー政策への転換が求められています。 (間宮利夫)


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