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2012年1月5日(木)

原発推進 “巻き返し”図る動き

財界・産業界が口々に要求

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 昨年の東京電力福島原子力発電所事故を受け、政府はエネルギー政策を見直し、新しい方針を今夏までに策定します。しかし、策定に関わる調査会では、財界・産業界の委員が原発の利用・開発を求めるなど、原発推進の“巻き返し”を強めています。 (中川亮)


 国のエネルギー政策についての議論は、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会(経済産業省)、新大綱策定会議(内閣府)、エネルギー・環境会議(国家戦略室)の三つで行われています。昨年10月に始まった総合資源エネルギー調査会基本問題委員会は、火力や原子力など各電源の構成について議論し、今夏をめどにエネルギー基本計画を策定します。同委の委員長は、「原発利益共同体」の中核的企業である新日本製鉄の三村明夫会長です。

 同委員会は昨年12月の論点整理で、「原子力発電への依存度をできるかぎり低減させる」ことを提示。ところが、東レ会長の榊原定征(さかきばら・さだゆき)氏は「(原発依存度低減は)見解の一致を得たとは受けとめていない」と発言。さらに「(原発を)将来にわたってわが国の基幹エネルギーの一つとして位置付ける」と述べ、「原子力発電技術の進化を最重点テーマに掲げて、国家の研究・開発予算の思い切った傾斜配分をすべき」だと要求しました。榊原氏は経団連の副会長(2007年5月〜11年5月)でした。

 また、同委員会では、三井物産会長の槍田松瑩(うつだ・しょうえい)氏が「原発は日本が世界に誇れる数少ない巨大技術の一つ」と強調。財団法人日本エネルギー経済研究所理事長の豊田正和氏は、原発依存度を低減することについて「(他国が)日本は(原発を)もうやめてしまうのではないかという無用な誤解を持つかもしれない」と述べました。豊田氏は1973年に通商産業省に入省。資源エネルギー庁の石油代替エネルギー課などを経て、経産省顧問を務めました。

 原子力政策の長期的方針をつくる新大綱策定会議では、住友商事顧問の海老原紳(えびはら・しん)氏が「日本が最先端技術によって、世界の原子力安全の向上や気候変動問題に貢献すべきである」と強調。さらに、「原発そのものの輸出を通じて国際的な貢献が行われる」と述べました。同会議は、原子力委員会委員長の近藤駿介氏が議長を務め、事故リスクのコストや放射性廃棄物の処理などについて議論。震災発生後は中断されていましたが、昨年9月に再開されました。

 エネルギー・環境会議は、今後のエネルギー政策の基本方針として、今夏に「革新的エネルギー・環境戦略」を決定します。同会議は関係閣僚で構成され、議長は古川元久国家戦略担当相です。総合資源エネルギー調査会や新大綱策定会議での議論に対し、議論の中身をチェックし、また食い違いが生じないよう修正します。


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