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2012年1月1日(日)

EU 続く政府債務危機

問われる成長戦略

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 欧州連合(EU)は今年、南欧の政府債務危機に加え、景気後退、失業増への対応が迫られます。ファンロンパイEU大統領は年末のあいさつで、1月30日に招集する非公式首脳会議の中心課題は雇用だと述べ、「ゼロ成長ないし景気後退の中での大きな挑戦」と指摘しました。

 EU統計局が発表した最新のユーロ圏失業率(11年10月)は10・3%。2008年の金融危機以来最悪です。英紙ガーディアンによると、昨年は、雇用機会の少ない母国を去る人々が増えています。ギリシャからオーストラリアへ2500人、ポルトガルから旧植民地アンゴラに1万人が移り、ブラジルではポルトガル人が27万から33万へ増えました。ユーロ圏全体の成長戦略が問われています。

 ファンロンパイ氏は「ユーロ圏の財政安定が将来にとって要だ」と強調。財政規律を強化する政府間協定の具体化など、12月のEU首脳会議の合意の実行を課題としています。

 ただし少なくない市場関係者が、イタリア、スペインのEU・IMF(国際通貨基金)融資受け入れを予想するなど、首脳会議合意は金融市場の信頼を得ていません。英誌エコノミストは「緊縮ばかりで成長策が少なすぎる」(12月17日、社説)と批判しました。

 欧州第2の経済国フランスでは、11年に200の工場が閉鎖。08年以来での閉鎖数は900にのぼり、この3年で10万人分の雇用が失われたといいます。11月の失業者数は、この12年間で最高の285万人です。サルコジ仏大統領は時短と賃下げによって雇用維持を図る意向ですが、労働総同盟(CGT)は「労働者を犠牲にする」と反発しています。

 今春の仏大統領選で、最大野党社会党のオランド候補は、「成長無しに赤字削減無し」と指摘し、財政規律の政府間協定の再交渉を主張。欧州統合の要である同国での選挙結果は、EUの動向にも影響を与えます。(ロンドン=小玉純一)


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