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2011年12月30日(金)

主張

原発事故報告

再稼働も、輸出も前提にせず

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 東京電力福島第1原発の事故対策を進めてきた政府の対策本部や委員会が相次いで報告書を発表しました。東電とともに事故の収拾にあたってきた対策室は原子炉を「冷温停止状態」だとし、野田佳彦首相が「収束」を宣言しました。事故原因の調査にあたってきた調査・検証委員会も「中間報告」を発表しました。原発周辺の避難区域の見直しも始まっています。

 原発事故の危険を一日も早く取り除き、住民が安心を取り戻せるよう、政府が作業を急ぐのは当然です。全国の原発を再稼働させ、原発輸出を推進するために、結論を急ぐなどというのは論外です。

原因究明は尽くされず

 3月の東日本大震災にともなう東電福島原発の事故は、国際的な基準でも最悪の「レベル7」に達する事故です。事故の対策を進め、今後の方向を定めるためにも事故原因の究明は最優先の課題ですが、事故から9カ月たっても原子炉内の状況が把握できず、究明が尽くされていないところに事故の深刻さがあります。

 12月初めに東電が発表した事故調査報告は、地震は想定内だったが、想定を超える津波によって原子炉が破壊されたと主張しました。しかし、政府の調査・検証委員会が発表した中間報告は、地震による原子炉圧力容器や重要な配管の破壊は確認できないが、現場の状況を把握できるまでは最終的に判断できないとしました。原因究明は尽くされていません。

 政府の委員会の中間報告は、政府や東電の津波への備えが不十分だったこと、事故に対応するオフサイトセンターが機能しなかったこと、事故直後の首相官邸や東電の対応に多くの問題があったことなどを列挙しています。事故はまさに“人災”であり、徹底した究明抜きに、原発の再稼働などが言い出せないことは明白です。

 政府は福島原発事故の原因が津波にあるという東電の言い分をうのみにして、津波対策さえ講じれば、全国の原発再稼働を認めるようにいってきました。しかし、福島原発事故の原因究明も尽くさないで、津波対策さえ講じれば、原発は「安全」などといえるはずはありません。これまでの政府や電力会社の地震や津波の「想定」が甘かったことは明らかです。根本的な見直しぬきに、「安全」などと主張することは許されません。

 野田首相が事故の「収束」を宣言し、十分な除染や賠償の手当ても行わないで避難区域の見直しに着手していることに、関係自治体や住民から反発と不安の声が上がっているのは当然です。首相が「収束」宣言を急いだのは、東電の賠償を軽くし、原発の再稼働と輸出を推進するためではないかとの批判に政府は答えるべきです。

避難長期化の対策こそ

 政府が、年間20ミリシーベルトまでは被ばくしても影響は少ないと、新たな「線引き」を持ち出していることにも、住民は不安を募らせています。本来原発事故で放出された放射性物質による被ばく量は低ければ低いにこしたことはなく、政府は被ばくの調査や除染に万全を期すべきです。避難生活の長期化に対応し、政府の責任で東電に全面賠償させることも必要です。

 原発の再稼働や輸出を前提とせず、事故原因を究明し、原発からの撤退を決断することこそ、住民の安心の回復に不可欠です。


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