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2011年12月24日(土)

主張

イラク戦争「終結」

戦争を起こさせない努力こそ

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 イラクから最後の米軍部隊が撤退し、8年9カ月に及んだイラク戦争が終わりました。この戦争で、イラクでは10万人以上の民間人が犠牲になったとされ、国内外にいる約300万人の難民をはじめ無数の市民がいまも厳しい生活を強いられています。侵攻した米国の側でも約4500人の兵士が死亡し、心身に傷を負った多数の若者が社会復帰に苦しんでいます。

 国際社会にも課題が残されています。21世紀の初頭を特徴づけたイラク戦争は国連憲章に反した侵略戦争であり、繰り返されてはならないことを銘記すべきです。

鏡が映す歴史的誤り

 「イラクでの戦争はまもなく歴史の一部になる」―オバマ米大統領は戦争“終結宣言”でこう語りました。しかし、米政府がそこから何をくみ取るのかは不明です。

 歴史はこの戦争の誤りを映す鏡として今後に生かされるべきです。戦争はどこから起きたのか?大量破壊兵器の保有を疑われる国への「先制攻撃」という米国の主張です。(以下、肩書は当時)

 2002年1月、ブッシュ米大統領はイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、体制転覆の意図を示しました。03年2月、パウエル米国務長官は国連安保理でイラクの「移動式化学兵器工場」のイラストや「電話盗聴記録」を示し、侵攻を正当化しました。

 一方、国際社会は先制攻撃を認めませんでした。戦争反対の声は未曽有の規模で世界に広がりました。安保理では、戦争に突き進む米国を仏、ロ、中、独などが制止しました。ドビルパン仏外相は国連査察が機能しているなかでの武力行使は正当化されないと指摘し、問題を国連の枠組みによって解決すべきだと主張しました。

 国連憲章は武力による威嚇や武力行使を禁止し、紛争を平和的手段によって解決するよう各国に義務づけており、侵攻が国連憲章を踏みにじることは明白でした。

 安保理が侵攻にくみせず、アナン国連事務総長が安保理の承認しない武力行使は「国連憲章に合致しない」と警告した数日後、米国はイラク侵攻に踏み切りました。

 パウエル氏が後に「生涯の不覚」と語ったように、イラクに大量破壊兵器は見つからず、米国のでたらめさが明らかになりました。この経緯は、米国の一国覇権主義の誤りを生々しく示したものとして歴史に記録されています。

 国際紛争は国連憲章に沿って平和的に解決すべきだということ、戦争は不可避ではなく紛争を戦争にしない知恵と努力こそが必要だということを、この歴史からくみ取るべきです。

 日本共産党は侵攻に反対の立場から志位和夫委員長が米国をはじめ各国に書簡を送るとともに、02年10月には緒方靖夫国際局長がイラクを訪問して査察の無条件受け入れを求めるなど、平和的解決への努力をつくしました。

「日米同盟」の色メガネ

 開戦前から「米国支持」を公言した小泉純一郎首相は、憲法を踏みにじって03年12月に自衛隊のイラク派兵を強行しました。戦争か平和かの重大問題を「日米同盟」の色メガネで判断したのです。

 いま民主党政権は野党時代の主張を翻し、自衛隊派兵を「違憲とは考えていない」としています。「日米同盟」の色メガネで世界を見る危険がここにもあります。


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