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2011年12月23日(金)

被災地 教職員3割 抑うつ

泊まり込み避難所運営 減らない学校業務

宮城県教組調査

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 東日本大震災を経験した教職員の3割に抑うつ傾向が見られる―。宮城県教職員組合が小・中学校の教職員を対象に行った「教職員の生活・勤務・健康調査」で、教職員の過酷な実態が浮き彫りとなりました。


 同調査は9、10月に実施。管理職を含む3375人から回答を得ました。

 現在の勤務や教育活動で特に困っていることや悩んでいることを学校別に聞いたところ、「放射能に関わる対応」(48・6%)、「転出入に関わる事務量の増加」(37・3%)、「家庭の経済状況が困難な児童・生徒の増加」(35・6%)、「運動場・体育館・特別教室の確保」(33・2%)と続きました。(グラフ1)

 震災後、学校は避難所として利用されました。広域合併で自治体職員が減らされる中、多くの教職員がその運営に携わっていました。業務内容を見ると「支援物資の受け付け・保管・配布」(68・8%)、「水くみ・トイレ掃除」(67・6%)、「学校管理のための泊まり込み」(56・5%)など多岐にわたります(グラフ2)。泊まり込み日数では、10日以上という教職員が1割強。毛布や食料、飲料などの防災備品は「ほとんどなかった」「全然なかった」で約4割もありました。

 教職員も被災者です。3分の2は住宅や宅地に何らかの被害を受けています。生活上困っていることでは半数以上が「家屋の修理や家財の購入負担が大きい」と答え、「通勤時間が増えた」(14・4%)、「親族の世話・介護の負担が大きい」(11・8%)と続きます。

 自らの被災に過重業務がのしかかり、教職員の健康をむしばんでいます。自己調査によるメンタルストレスチェックでは「軽度の抑うつ傾向あり」が23%、「中程度の抑うつ傾向あり」が7%、計約3割が抑うつ傾向にありました。(グラフ3)

行政の体制整えて

 同調査結果について、宮教組は以下のように分析・要望しています。

 勤務に欠かせない自家用車やパソコンなどたくさんの物が流され、経済的な負担は大変です。生徒の安否確認や教職員間の連絡にひんぱんに使った携帯電話料金ぐらいはせめて補償してほしい。また今後も学校を防災拠点にするのなら、教職員や地域の方々が不眠不休で避難所運営を行ってきた事実を踏まえ行政の体制をつくるべきです。

 県教委に要求してきた全教職員への健康調査が、今月はじめにやっと実施されました。結果がまとまる3月を待たず、深刻な状態にあるとわかった人には医師と面接するよう、県教委は積極的に働きかけてほしい。そもそも多すぎる業務量を減らして、休暇をとれるようにしてほしい。


◆困っていることの自由記述から

 *市教研など本年度は無理にやらなくてもいいことまで「普段通り」にやろうとしている。(40代女性)

 *震災の年なのに校内研究が昨年より大変であり、とてもつらい。他にも例年通りしていることが多々あり、皆疲れがたまっている。町の学力向上のためなのか指導主事をわざわざ呼んだり、全員授業、指導案作成をと言われたりして精神的にとても負担。(50代女性)

 *体調が悪いのになかなか休めない。(50代女性)

 *身内が亡くなったことについて、いまだ気持ちの整理がつかない。(20代女性)

 *がんばっているつもりだが、先が見えないことが多く、不安である。(40代男性)

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 その他の業務の例…駐車場誘導。身元確認の対応。深夜警備。外部との渉外。避難所でのルール・情報を書き出して校内に貼る作業。避難者の服用する薬の調査。ストーブ設置。仮設トイレ設置。たきぎ集め。体の不自由な方や高齢者への介助。

 

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