2011年12月18日(日)
コスト削減・格安会社進出
空の安全問い直す
東京でシンポ 柳田邦男氏講演
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日本航空の人員削減をはじめ航空業界で起こっているコスト削減競争や格安航空会社の進出など安全に関わる問題を問いなおそうと、航空産業の公共性を考えるシンポジウム(同実行委員会主催)が17日、東京都内で開かれ、145人が参加しました。
開会あいさつした醍醐聰東京大学名誉教授は、「規制緩和によって安全が問われている。現場で働いている安全の担い手について議論したい」と発言しました。
多くの事故を取材したノンフィクション作家の柳田邦男氏が「『安全の層』と経営の責任」と題して講演。経営の問題では、企業理念に安全を位置づけ、安全投資をしているかが重要だと強調。「労働者が意欲や誇りをもって仕事ができるかは、エラー発生に影響がある。過酷な労働条件など意欲の阻害要因を低減させることが経営のすべきことだ」と語りました。
柳田氏は、2005年に日航でミスが連続したときに、日航安全アドバイザリーグループの座長となり、風通しのよい職場づくりなどを提言してきたことを紹介しました。
パネル討論では、安部誠治関西大学教授、奥平隆・元全日空機長、米倉勉弁護士、柳田氏、醍醐氏が格安航空や航空労働者の過労死事件などを報告しました。
参加者からも「日航では、職場に展望が持てず若い労働者の退職が続いている」「整備の職場でも労働時間の長時間化が起きている」「格安航空の進出で離島住民の交通が脅かされている」など発言が活発に行われました。