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2011年12月18日(日)

チュニジア「革命」 発端の青年自殺から1年

「国民はたたかい続ける」

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 今年1月のチュニジア「革命」のきっかけとなった青年の焼身自殺から17日で1年が過ぎました。青年の故郷、同国中部の小都市シディブジッドでは「革命」を祝うフェスティバルが16日から4日間開催されています。同国は「革命」後、いかに変わったのか、青年の遺志はどのように人々の心に生きているのでしょうか。 (カイロ=小泉大介)


 2010年12月17日のシディブジッド。職を失い野菜や果物の路上販売をしていた当時26歳の青年、ムハンマド・ブアジジさんが「無許可販売」だと警察に摘発され、暴行を受けたことに抗議して焼身自殺を図りました(死亡したのは今年1月4日)。

 それから1年。同市に住む失業中の男性、サイフ・ハムディさん(25)は本紙の電話取材に言いました。

 「彼の死は痛ましいもので、心から哀悼します。彼の犠牲は、私を含めほとんどのチュニジアの青年の心に、『この不正義をなんとかしなければならない』との思いを呼び起こしてくれました」

心を動かす

 ブアジジさんの自殺の報は瞬く間に携帯電話やインターネットを通じて全土に伝わり、連日の大規模デモは1月14日、強権政治を敷いてきたベンアリ前大統領を国外逃亡へと追い込んだのです。

 シディブジッドの女性小学校教師、ファティン・カリファさん(28)も言います。

 「ブアジジさんの自殺に続く私たちの偉大な革命は、世界で貧困に苦しむ多くの人々の心も動かしたと確信しています」「チュニジア国民は革命が最終的に成功するまでたたかい続けるでしょう」

 チュニジアでは10月、国民が望んだ自由・公正な制憲議会選挙が実施され、同議会は12月10日に暫定憲法を採択しました。

 さらに制憲議会は12日、第2党の世俗派政党「共和国会議」のモンセフ・マルズーキ党首を暫定大統領に選出。14日には第1党の“穏健”イスラム勢力の政党「アンナハダ」のハマディ・ジェバリ幹事長が首相に就任しました。

 ベンアリ政権時代、左派の人権活動家として反政府活動の先頭に立ってきたマルズーキ氏は選出後、「私は国家のために全力を尽くすことを約束する。私は国家と国民、そして革命を代表している」と表明しました。

高い失業率

 民主化に向け、政治体制を整えつつありますが、課題は山積。中でも待ったなしなのが雇用悪化や物価高騰をはじめとする経済状況の改善です。

 失業率はベンアリ時代の公式発表でも14%と高く、「革命」にいたる国民の怒りの根本にありました。ところが世界銀行によれば現在の失業率は18%に悪化。政治面の改革が進む一方で、労働者のストライキや抗議行動が後をたたず、マルズーキ氏は14日、経済対策に専念するため、野党や労働組合に6カ月間の“停戦”を呼びかけました。

 冒頭のハムディさんはきっぱり言います。

 「この1年間、生活はまったくよくなっていません。私たちはさらに『革命』を推し進めなければなりません。チュニジアの未来のために、若い世代が政治へのかかわりを強めていくことが大事です」


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