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2011年12月4日(日)

主張

クラスター爆弾

保有国は禁止条約受け入れよ

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 アメリカが提起した、クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)を「骨抜き」にする新条約案が、特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)締約国会議で多くの国から反対され廃案となりました。

 昨年8月発効したオスロ条約は、非人道的兵器であるクラスター爆弾の全面禁止を求める、諸国民の願いに応えてつくられたものです。禁止規定を意味のないものに変質させる「骨抜き」策動に、厳しい批判がまきおこったのは当然です。「骨抜き」案が廃案になった以上、クラスター爆弾保有国はオスロ条約に背を向けるのをやめ、条約の締結に向かうべきです。

葬られた「骨抜き」案

 クラスター爆弾は、親爆弾から飛散した子爆弾が不発のまま地上に残り、地雷のように子どもらを無差別に殺傷する非人道兵器です。オスロ条約は、新型爆弾を禁止対象の例外にしながらも、世界中にあるクラスター爆弾の99%を禁止する条約です。クラスター爆弾を大量に保有し、海外の戦争で自由に使用することを重視するアメリカは参加せず、オスロ条約が作成された2008年からCCWの枠組みのなかでオスロ条約に対抗する議定書作りを進め、「骨抜き」の新条約案を提起しました。

 新条約案は、きわめて旧式の爆弾を廃棄対象にするだけで、子爆弾の不発率が1%以下の爆弾の使用を認めるものでした。爆弾を廃棄するまでの期間も現行の最長8年から最長12年に延ばしています。全面禁止の願いをふみにじりクラスター爆弾を温存する企てであるのは明らかです。

 新条約では、クラスター爆弾の保有・使用を正当化するだけで、一般市民の被害をなくすことはできません。オスロ条約づくりを主導し支持してきたノルウェー、オーストリア、メキシコの3国外相が共同で「骨抜き」策動を「国際人道法の深刻な後退につながる」と指弾したのは当然です。国際赤十字委員会も、「市民への被害を防止するどころか永続させる恐れもある」と批判しました。

 日本政府がオスロ条約を批准しながら、アメリカの新条約案の成立に奔走したのはとりわけ重大です。「実効性のある新たな議定書」策定のために「積極的な貢献」(10年4月19日の外務省説明)をするという政府方針は、アメリカの新条約案づくりに歩調を合わせたものです。日本政府の態度はクラスター爆弾の全面禁止を求める諸国民の願いよりも、軍事同盟を結ぶアメリカの政策を優先するものです。これでは日本が「人道問題の後進国」とみられ、国際的な信頼を失うことにしかなりません。

在日米軍の爆弾撤去を

 新条約の策動が国際的に支持されなかった以上、アメリカやロシア、イスラエル、中国などのクラスター爆弾保有国がオスロ条約を締結せず、無視し続けているのは通用しません。オスロ条約を批准した日本はクラスター爆弾を「迅速に廃棄」することを基本にすえ、他の批准国と協力して、抵抗する保有国を追い詰めることこそ必要です。

 そのためにも政府は自衛隊が保有するクラスター爆弾の廃棄を加速するとともに、在日米軍機の沖縄でのクラスター爆弾投下訓練をやめさせ、在日米軍が日本国内に保有するクラスター爆弾も日本から撤去させるべきです。


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