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2011年11月27日(日)

子育て新システム 「幼保一体」どこへ

制度は複雑怪奇 公的保育は解体

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 民主党政権は、現行の公的保育制度を解体する「子ども・子育て新システム」の年内とりまとめを強行する狙いですが、ここにきて議論を振り出しに戻す私学助成の存続案が示されました。

 「新システム」は、役所の管轄が違う幼稚園(文科省)と保育所(厚労省)をいっしょに統合・一元化して、「幼保一体化」の「こども園」で「二重行政を解消する」ということを最大の看板としていました。

 保育所と幼稚園それぞれの施設に国から出ていた運営費や補助金を廃止し、利用者個人に給付する「こども園給付」として一本化する方針で、幼稚園に出ている私学助成も廃止されるはずでした。

私学助成継続

 ところが、24日の「新システム」検討の作業部会に示された案は、「こども園」に移行せず幼稚園として残る私立施設に、私学助成を引き続き出すというものでした。それだけでなく、現在、利用者個人に出ている幼稚園就園奨励費補助も引き続き支給する考えを示しました。

 強引な一体化に幼稚園団体が強く反発したことから、「中間とりまとめ」(7月)の段階では、「こども園給付」を受けなければ幼稚園のまま残れる道がつくられていました。その場合は、一切の公的補助がなくなり、保育にかかる費用の全額が保護者負担となるため、お金持ちの子どもを集められる一部の“ブランド幼稚園”しか幼稚園として残れないとみられていました。

 今回の提案では、「こども園」へ移行しなくても、幼稚園は従来のように補助金が受けられることになり、“ブランド”園以外の幼稚園もそのまま残る可能性が高くなりました。

幼保を三元化

 保育団体代表の委員からは、「新システム」の「根幹が揺らぐばかりではなく、中間とりまとめに至った経緯を覆す」などの批判が噴出しています。

 「一元化」「二重行政の解消」といってスタートした「新システム」の議論ですが、結局、三元化(総合施設の所管は「子ども家庭省」、0〜2歳児を対象にする保育所は厚労省、幼稚園は文科省)されることになります。

 施設の類型や財政措置が複雑怪奇に入り組んだ制度となり、作業部会の関係者からさえ「私たちでさえ理解しにくい」という声があがっています。

 民主党政権の“売り”とばかりに先頭にたって「一元化」を推進してきたはずの小宮山洋子厚労相までも「全部を(幼保一体化した)総合施設にするのは無理がある」(25日)と言い出す始末です。「新システム」を推進してきた看板はことごとく崩れ去っています。

 その一方、一貫して変わらないのが公的保育の解体の狙いです。24日の作業部会で事務局側は、市町村の保育実施義務をうたう児童福祉法24条を全面的に書き換える案を示しました。さらに「こども園」に参入する株式会社に、補助金の使途制限も課さない考えを示し、保育の市場・産業化の流れはいよいよ鮮明になっています。 (鎌塚由美)

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