2011年11月24日(木)
和解拒否に学会利用
イレッサシンポ 国を批判
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「イレッサ薬害訴訟における国・企業・関係学会の責任」と題したシンポジウムが23日、100人余が参加し東京都内で開かれました。主催は、国民の医薬シンポジウム実行委員会です。
イレッサ東日本訴訟の弁護団副団長、水口真寿美弁護士は「東京地裁判決は被害を防止するためにはどのような記載が必要かという視点を持つ、まっとうなもの。一方、東京高裁判決は添付文書作成の実務からかけ離れた判断をし、被害の責任を医師に転嫁。将来に禍根を残すことになる」と高裁判決を批判しました。
同西日本訴訟の原告の一人(56)はイレッサを服用し、副作用の間質性肺炎で苦しんだ被害者です。「東日本訴訟の東京高裁判決は、薬害を教訓に前進してきた薬事行政をもとに戻すようなものだ」と強調しました。
薬害イレッサ訴訟をめぐっては、東京、大阪両地裁が和解勧告を出した後、厚生労働省が関係学会へ和解勧告を批判する声明文を公表するよう働きかけ、その下書きまで渡したことが問題となりました。
この問題で弁護団の関口正人弁護士と原告の近澤昭雄さん、医師の草島健二さんが、てい談を行いました。関口弁護士は「勧告拒否を正当化するために学会を利用した悪質な国民だましだ」と厚労省を批判。近澤さんは「学会は患者に副作用被害を及ぼしたことを振り返り、なぜそうなったのかを検証することこそが求められる」と話しました。