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2011年11月22日(火)

主張

東アジア首脳会議

求心力を示したASEAN

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 東アジア首脳会議(EAS)は、今回初めて米国が参加し、東南アジア諸国連合(ASEAN)が推進する東アジアの平和と安定、繁栄に向けた対話と協力を促進する場としての重要性を高めました。首脳会議が採択した「互恵関係原則に関する宣言」は、各国の独立、主権、平等、領土保全への相互尊重をうたい、他国に対する武力行使や威嚇の放棄、紛争の平和的解決など指針とすべき諸原則を確認しました。

平和の諸原則を確認

 この結果はASEANが積極的役割を演じたことの表れです。ASEANはEASに先だって、これら平和の諸原則をはじめ東南アジア非核兵器地帯条約付属議定書への核保有国の調印を促進するなどの外交政策と、ASEANが中心となってこれらを追求することを確認した「第3バリ協和宣言」を採択していました。

 ASEANは一連の会議を通じて地域の平和共同体としての役割を果たしながら、2015年のASEAN共同体発足に向けて歩を進めています。ASEANはこれまでも、国連憲章を基礎に紛争の平和的解決などを原理とした東南アジア友好協力条約(TAC)を通じて域外諸国との共同を広げてきました。今回ブラジルがTACに加入したことも、ASEANの求心力を示すものです。

 今回のEASは、南シナ海をめぐる領有権問題に関わって航行の自由が焦点の一つになりました。多国間会議でこの問題を取り上げることに否定的だった中国を含め、国連海洋法条約の尊重を表明しました。問題解決に向け、ASEANは法的拘束力をもつ南シナ海行動規範の草案づくりを進めており、首脳会議で一定の合意をみたことは、取り組みを前進させる足がかりとなるものです。

 米国が環太平洋連携協定(TPP)を主導するなか、ASEANは地域経済協力の中心的役割を保持し、東アジアの共同を強化する経済圏づくりで合意しました。参加国の経済主権と多様性を認めながら進むことが期待されます。

 米国が対外政策でアジア太平洋を最優先に位置づけるなか、安全保障の「保証人」を自任し、西太平洋で軍事同盟を強化していることは見過ごせません。オバマ大統領はEAS出席の直前オーストラリアを訪問し、休眠状態のANZUS(米豪ニュージーランド相互安保条約)に訴えて、新たに米海兵隊を駐留させると発表しました。

 ASEANの政府関係者の懸念表明にみられるように、今日の東アジアで米国の主張はすんなりと通りません。軍事的緊張を高める政策は、今回米国も賛同したEASの宣言に逆行するものです。

時代遅れの軍事同盟

 軍事同盟はそれ自体が時代遅れであるうえ、米主導の軍事同盟は対イラク侵略戦争での米覇権主義の破綻で深く傷ついています。同盟強化の試みはつまずきをまぬがれません。米軍新基地の建設に反対する沖縄県民のたたかいはそれを浮き彫りにしています。

 野田佳彦首相がEAS後の記者会見で、日米同盟は地域の平和と安定に貢献すると述べたことは、米国の視点でしか物事を見ようとしない姿勢を示したものです。ASEANのパートナーとしても、日本は憲法の平和の理念に合致した対外政策をとるべきです。


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