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2011年11月21日(月)

主張

原発ストレステスト

再稼働の前提にするのは論外

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 政府が定期点検などで停止中の原発に求めた「ストレステスト」(耐性試験)の結果が関西電力大飯原発3、4号機や四国電力伊方原発3号機で相次いで提出され、経済産業省原子力安全・保安院で審査が始まろうとしています。

 ストレステストは、3月の東京電力福島第1原発事故をきっかけに持ち出されてきたものですが、それをパスすれば原発が安全に運転できるというものではありません。なにより福島原発の事故原因の究明さえ終わっていないのに、ストレステストを再稼働に結び付けるのはまったく論外です。

原発の安全性保証しない

 政府が各電力会社に求め、実施中のストレステストは、原発が設計上の想定を超える地震や津波に見舞われたさい、建物や重要な機器がどの程度の余裕(安全裕度)を持ってつくられているかを、コンピューターを使って計算するものです。たとえば関西電力大飯3号機の場合、地震の揺れは想定した700ガル(加速度の単位)より約1・8倍大きくなると炉心の損傷に至り、津波は想定した2・85メートルより約4倍高くなると同様な事態に至ると評価されています。

 ストレステストの結果はひとつの目安ですが、世界でもっとも深刻な原発事故のひとつとなった福島原発事故がどんな原因で起きたのかもわかっていない以上、ストレステストの結果だけで、福島原発のような事故は起きないと結論付けることはできません。

 福島原発の場合、巨大な地震で施設や機器、配管が破壊され、それに加えて、巨大な津波が襲って全電源の停止、炉心の溶融という重大な事故を引き起こした可能性が指摘されています。もし地震と津波が合わさり、深刻な事態をもたらせばどうなるのか。福島原発の事故原因の究明抜きに原発の安全性を議論するのは不可能です。

 もともと原発は国が定めた地震や津波の想定基準にもとづいて設計されています。福島原発事故ではその基準自体が過去の経験から予想される規模を想定にいれていなかったことが浮き彫りになっています。そうした不十分な想定にもとづいておこなわれた設計をもとに、どれぐらい余裕があるか計算してみても、それは「絵に描いたもち」にしかなりません。

 ストレステストの場合、各電力会社がテストをおこない原子力安全・保安院が審査し、原子力安全委員会がチェックするという仕組みそのものも問題です。いずれもこれまで原発は重大事故を起こさないという「安全神話」にとらわれ、原発建設を推進してきた「原子力ムラ」のメンバーです。同じ体制がストレステストで安全だといっても何の保証にもなりません。

再稼働に結びつかない

 日本共産党の志位和夫委員長が9月末の衆院予算委員会で、原発の再稼働は福島原発事故の検証が前提になることを追及した際、野田佳彦首相も、「事故の究明、徹底究明をおこなうことが大前提」「そうした究明をおこなったあとに再稼働はストレステストをおこない、最終的には政治が総合的に判断するというプロセスをたどる」と答弁しました。

 ストレステストだけでは再稼働が認められないことは明らかです。政府はなによりも事故の収束や賠償・除染とあわせ、事故原因の究明を急ぐべきです。


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