2011年11月18日(金)
中国の高速鉄道開通延期
事故の影響 安全意識高まる
【北京=小寺松雄】中国メディアは11月に入り、今年7月に浙江省で起きた列車追突事故を機に当局が安全をより重視するようになったことで、今年中に予定されていたいくつかの高速鉄道の開通が延期されたと報じました。
上海と四川省成都を結ぶ高速鉄道計画のうち、湖北省の武漢―宜昌間(291キロ)は、今月予定されていた開通が来年に延ばされました。
この工区は2008年に着工し、今年末に営業運転に入る予定でした。しかし今年7月23日に浙江省温州で起きた高速鉄道事故の影響を受け、工事の最終点検段階でいっそう安全に力点を置くようになったといいます。このため「来年1月に試運転完了、3月に正式運行開始」と変更されました。
もう一本の開通延期は、北京と香港を結ぶ高速鉄道計画の一部となる石家荘(河北省)―武漢間(840キロ)。やはり年末までに開通とされていましたが、関係者は「いまのところ開通の明確な時間表がない」といいます。
北京―香港間は、中国最長の縦断高速鉄道計画。その中の石家荘―武漢間は、当初計画では最高時速が350キロとなる予定でした。
石家荘―武漢間の建設を担当している中鉄十一局集団公司の幹部は、開通の遅れについて「7月の高速鉄道事故後、全国で鉄道の安全意識が高まり、安全業務の大点検が実施されているため」と語っています。
業界関係者はまた、工事遅れの要因として、今年に入ってからの金融引き締めや7月の事故の影響により、資金調達が難しくなっていることも挙げています。
鉄道省の負債は今年2兆元(約24兆円)に達し、金融機関からの資金借り入れがより困難になっているといわれています。
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