2011年11月1日(火)
チュニジア選挙結果めぐり暴動
背景に中央への反感も
【カイロ=伴安弘】チュニジアのベンアリ政権崩壊のきっかけをつくった中部シディブジドで、チュニジアの制憲議会選挙の結果をめぐって「暴動」が発生し、鎮圧されたものの、同市には28日から夜間外出禁止令が出ています。
3000人が参加したとみられる暴動のきっかけは、同選挙で19議席を獲得したアレードハ・シャービア(大衆請願)党が財政上の不正などを理由に獲得した議席を無効とされたことです。
同党を創立したのはシディブジド出身のハシェミ・ハムディ氏。現在、英国ロンドンに本社のある衛星テレビ「ムスタキラ」の社主です。
最高選挙委員会は同党が獲得した議席のうち、今回の選挙で被選挙権を剥奪されていたベンアリ前政権与党の元幹部が得た1議席を含む6議席を取り消しました。これに対しハムディ氏は、抗議の意思表示として同党が得た19議席すべてを“返上”しました。
暴動の背景には、首都チュニスなど「中央による地方の支配」への反発や、国内でベンアリ強権政権とたたかってきた人たちが国外亡命者に抱く反感もあるとみられています。
チュニジアのウェブサイト「チュニジア・ライブ」は暴動参加者の声を紹介。そのなかでは、次期首相と目されている穏健イスラム政党「アンナハダ」のジェバリ幹事長が従来の支配層と同様、北部海岸地方の出身であること、「気楽な亡命生活」を送ってきた人物であることなどが批判されています。
また、アレードハ・シャービア党の議席取り消しが発表された記者会見で、記者団が歓声を挙げ、国歌を歌ったことを指摘。この様子をみた市民が、自分たちを見下したものとみなし、暴動に参加したと分析しています。