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2021年10月7日(木)

主張

カジノと新政権

今こそ“賭博政治”との決別を

 カジノを中核とする統合型リゾート(IR)をめぐり、政府は誘致自治体からの申請受け付けを1日に開始しました。カジノ解禁に向けた重要な手続きを進めていることは、「安倍晋三・菅義偉政治」がレールを敷いたカジノ推進路線が岸田文雄新政権でも微動だにしないことを示しています。

世論の強い反対に阻まれ

 カジノは、いうまでもなく刑法が禁じる危険な賭博場です。それを合法化し、カジノがあげる高収益を当て込んで、ホテル、国際会議場、展示施設などを備えた巨大な観光施設をつくるというのがIR構想です。

 安倍元首相は、アベノミクスの成長戦略の「目玉」にIRを据えました。

 日本への進出を狙って長く画策してきたアメリカの巨大カジノ企業を最大の支援者とするトランプ前大統領の圧力を受けながら、2016年12月にはカジノ解禁推進法、18年7月にはカジノ実施法のカジノ2法を自民、公明、維新の多数で強行しました。

 しかし、カジノ2法の成立後も、国民のなかでカジノ反対の世論は圧倒的多数です。

 競馬や競輪などの公営賭博、パチンコ・パチスロなどすでに賭博場があふれかえっている日本では、ギャンブル依存症などのギャンブル被害を身近に目にする機会が多く、新たな賭博の解禁を忌避する感情が広がっているからです。

 政府のカジノ解禁へのスケジュールが狂い、遅れを重ねてきたのも、カジノ反対の世論に阻まれ、土壇場まで追い詰められてきた結果にほかなりません。

 そこを襲ったのが新型コロナウイルスの世界的大流行です。典型的な“3密”空間であるカジノに客を詰め込み、延々と賭博を続けさせるというビジネスモデルはすでに成り立たなくなっています。

 コロナによるカジノの閉鎖や規制強化で財務状況を悪化させたカジノ企業の日本撤退も相次ぎました。オンラインカジノ(インターネット上で仮想的に開帳する賭博場)への転換も進んでいます。

 大規模な地上型カジノを核にした巨大な観光施設をつくるというIRは、すでに破たんしている時代遅れの事業であり、それにしがみつくことは国民に大きな災厄をもたらすギャンブルでしかありません。

 安倍政治を継承してカジノの旗を振り続けた菅前首相の選挙区がある横浜市では、前市長が市民無視のカジノ誘致路線を独走していました。しかし、8月の市長選でカジノ反対の新市長が誕生し、市民の力で、カジノ誘致を完全に撤回させました。

 「日本のどこにもカジノはいらない」―国民のこの声を政治に突き付け、カジノにしがみつく“賭博政治”からの転換を図らなくてはなりません。

政権交代が廃止の力

 日本共産党、立憲民主党、社民党などは2020年1月の国会冒頭、カジノ2法を廃止する法案を衆院に共同提出しました。カジノ廃止は、野党共通の要求です。

 岸田政権でもIR担当は斉藤鉄夫国土交通相(公明党副代表)に引き継がれました。自公政権と維新がカジノにしがみつくなか、総選挙で政権交代を実現することこそ、日本へのカジノ上陸を阻む確かな力です。


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