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2021年9月1日(水)

主張

防災の日

命を守るため国は役割果たせ

 きょうは「防災の日」です。今年の夏も、記録的な大雨によって土砂災害や河川の氾濫などの大きな被害が各地で引き起こされ、人命が失われました。暮らしと生業(なりわい)に大きな打撃を受け、困難を抱える被災者への支援強化が急務です。気象災害の激甚化が顕著になる中で、これから本格的な到来が想定される台風への警戒も怠ることはできません。コロナ感染拡大への対策を講じることと合わせ、災害から国民の命と財産を守る政治にしていくことが重要になっています。

「人災」にしないために

 梅雨前線の影響による大雨が続く中で7月3日に発生した静岡県熱海市の大規模土石流は、土砂災害のすさまじさを改めて見せつけました。大量の土砂が市街地をのみ込み、128棟の建物被害を出しました。26人の死亡が確認され1人が行方不明です。約170人が避難生活をいまも続けています。被災者に寄り添うきめ細かな支援の継続が大切です。

 土石流の要因が「盛り土」だった疑いが濃厚になり、原因究明と責任の明確化が焦点です。危険な盛り土は全国各地に存在し、これまでも大雨や地震の際に被害が繰り返されました。自然災害を「人災」として拡大しないため、国の責任による盛り土の総点検と緊急な安全対策が急がれます。

 災害の危険箇所の再点検と住民への情報発信のあり方の検証と見直しも不可欠です。8月中旬の記録的な大雨も土砂災害で犠牲が出ました。長野県岡谷市で住宅に土砂が流れ込み母子3人が亡くなった15日の土石流は土砂災害警戒区域内でした。市は当時、避難指示を出していませんでした。

 どのタイミングで住民にどのような避難情報を発令するのか。危険箇所を示したハザードマップを住民に分かりやすく示すとともに、安全に早く避難できる仕組みの強化を急がなければなりません。過去に経験のない激しい雨が猛威を振るう中で、住民が従来の経験にとらわれずに行動できるよう国の支援も検討すべきです。

 8月の大雨では、福岡県久留米市や佐賀県武雄市で河川が氾濫し、住宅地をはじめ広い地域が浸水しました。激しい雨が排水しきれずに住宅地域にたまったり、川の合流地点で支流の水があふれたりする「内水氾濫」が相次ぎました。大雨のたびに毎年氾濫が繰り返される地域も少なくありません。水量の増加に排水ポンプの機能が間に合わなくなっているとされます。河川の拡幅などの整備を急ぐとともに地域全体での抜本的な対策が必要です。

「流域治水」の取り組み

 気候変動を背景に水害の激化が予測される中、ダム機能などハード面に頼る治水に限界があると指摘されています。流域全体で関係者の全員参加により、貯水施設の整備や危険な場所に住まないなどの工夫をしながら被害の軽減をめざす「流域治水」が各地で試みられています。さきの国会では全会一致で流域治水関連法が成立しました。地域、自治体、政府が一体となって英知を集め、防災・減災の取り組みを進める時です。

 防災の日は1923年の関東大震災発生の日でもあります。地震や火山災害への備えも欠かせません。災害に強い国づくりへ、政府の役割が求められます。


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