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2021年6月12日(土)

小中学生全員 五輪に

東京・三鷹 1万2千人観戦計画

熱中症リスク 夜遅く帰宅も

党市議が中止求める

 東京都は小中学校と高校、幼稚園に通う約81万人を対象に、学校と連携した五輪・パラリンピック観戦を進めています。三鷹市では、市立小中学校の全学年1万2千人以上の参加が前提になっていると日本共産党の前田まい市議が市議会で明らかにし、吉良よし子参院議員が国会で追及しました。市内の都立高校も参加予定です。(丹田智之)


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(写真)五輪の学校連携観戦で動員される三鷹市の小中学生の一覧表の一部(日本共産党の前田まい市議作成)

 前田市議は都の資料をもとに市立小中学校の観戦スケジュールの一覧表を作り、5月31日の市議会一般質問で示しました。

 小学1年から中学3年まで、各学校の学年ごとに観戦する競技と会場、日時が記されています。このときの答弁で貝ノ瀨滋教育長は、市内の全児童・生徒が参加することを前提に準備を進めていると認めた上で「対象人数は1万2777人で引率者は880人程度と見込んでいる」と述べました。

屋外競技場で

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(写真)5月31日の市議会一般質問で観戦スケジュールの一覧表を示す日本共産党の前田まい市議

 都の方針では、学校連携観戦で児童・生徒が競技会場へ移動する際に公共交通機関を利用することになっています。三鷹市では「熱中症対策」のため、競技会場から近い2校を除いて貸し切りバスを利用します。

 市内の小中学生は7月24日から9月4日にかけて順次、5カ所の競技会場に分かれて観戦する予定です。多くの学校は夏休み期間に行います。

 午前9時から始まる競技や、午後8時以降に終わる競技もあります。こうした時間に観戦する児童・生徒は、早朝に出かけたり、夜遅く帰ったりすることになります。

 真夏の屋外競技場では、短時間の観戦でも熱中症のリスクが高まります。ある中学校は、8月7日に東京スタジアム(調布市)で近代五種競技を観戦する予定です。日差しが強まる午後2時30分から始まり、午後8時15分までとなっています。

 参加する児童・生徒の熱中症対策は、都が配布する遮光ボードや飲料水などに限られています。

「対応に苦慮」

 三鷹市の河村孝市長は「子どもたちの感動体験につながる」として、学校連携観戦の意義を強調。他方、新型コロナウイルスの感染拡大が収まる見通しがたたない中で「専門家の意見も参考にしながら、ギリギリのところで判断せざるを得ない」としています。

 前田市議は「子どもたちや教職員を新型コロナ感染のリスクにさらしてまで(観戦の)教育的価値を優先して実施するのは恐ろしいことだ」と指摘し、市の判断で中止するよう迫りました。

 市は実施に向けた準備を進めていますが、戸惑いの声も上がっています。

 市教育委員会の担当者は「5月下旬にオンラインによる都の説明会がある予定でしたが、6月中旬に延期すると連絡がありました。教職員が競技会場を下見する『実地踏査』も終わっていません。保護者に案内できる状況ではなく、各学校は対応に苦慮している」といいます。

 日本共産党は学校連携観戦の実施に反対し、東京五輪・パラリンピックの中止を求めています。


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