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2013年12月27日(金)

揺れる維新政治

市民病院廃止 その先に

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(写真)10月に廃止された診療科に紙がはられた住吉市民病院の案内板。奥は正面玄関=12月、大阪市住之江区

 今年3月の大阪市議会で、存続を求める住民の声に背いて廃止条例が可決された市立住吉市民病院(住之江区)。長年、市南部で子どもと出産前後の医療を担ってきた同市民病院がいま、2016年3月末の閉院に向けて機能を失いつつあります。

 11日午前。10月に小児・産婦人科関連を除く内科・外科など10診療科が廃止された同病院の受付は、幼児を抱いた母親や妊婦で混雑する一方、廃止された病棟の窓にはカーテンが閉められていました。

 橋下徹大阪市長は昨年5月、隣接する住吉区の府立急性期・総合医療センターと「二重行政」になっていると攻撃。老朽化のため現地建て替えが決まっていた住吉市民病院の廃止と同府立病院への統合を打ち出しました。

 これに対し地元町会や医師会、「住吉市民病院を充実させる会」から、住吉市民病院の廃止反対・現地存続を求める署名が7万を超えて提出されました。

民間誘致も不安

 広がる市民の反対を前に、当初から現地存続を求めてきた日本共産党だけでなく「維新」を除く他の会派も反対を表明する状況が生まれます。その中で橋下氏は病院の跡地に民間病院の誘致を表明。公明、自民、民主系が賛成に転じました。

 今月4日、市は誘致する民間事業者を発表しました。

 3月に出産を控えて住吉市民病院を受診した住之江区の女性(35)は「産科や小児科は経営が大変だから民間が減っているのに民間事業者で大丈夫なんですかね」と心配します。

 この事業者が小児・周産期の分野でこれまで展開してきたのは産婦人科10床だけ。小児・産科69床を展開するという計画に、市は責任を持てるのか―。日本共産党の井上浩市議が議会でただしましたが、橋下氏は「民間がやるって言うんだから邪魔しないで」と議論をすり替えました。

 「充実させる会」の松本安弘さんは「計画を裏付ける医師の確保ができるのか。民間に任せたからあとは知らないでは済まされない」と指摘。「出された計画は会の要望を満たすものです。市の責任で実現・継続させるよう求めていきたい」

公立病院の役割

 「大阪都」構想で府市統合を目指す橋下氏らの戦略では、同市民病院の廃止は手始めにすぎません。府市統合本部の顧問は「公が病院事業を行う意味の再検討が必要」と発言。府市両議会では府立5病院、市立3病院の非公務員型独立行政法人化が決められ、統合が狙われています。

 府立病院機構労働組合の田岡康秀書記長は「公立病院には地方公営企業法が定める『公共の福祉の増進』の役割があり、これは憲法の立場です。非公務員型独法や民間病院になれば議会のチェックも十分届かず、もうからなければ撤退となりかねない。住民と地域医療を育てる運動を進めていきたい」と話しています。

(北野ひろみ)


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