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2024年3月12日(火)

主張

東日本大震災13年(下)

地震国日本に原発はいらない

 東京電力福島第1原発事故から13年です。核燃料が溶け落ち、原子炉建屋が爆発し、大量の放射性物質が放出されました。広範な地域が汚染され、とりわけ福島県では農林水産業や観光業など地域の産業に深刻な被害が引き起こされました。いまもなお数万人が故郷に戻れず、避難を余儀なくされ、暮らし、生業(なりわい)などの被害も続いています。

共存できない異質の危険

 ひとたび重大事故が起これば地域社会が崩壊する。そんな「異質の危険」をもつ原発は、日本社会とは共存できません。原発のない日本は、福島事故の教訓であり、多くの国民の願いです。

 政府と東京電力は、福島第1原発の事故収束・廃炉を2051年までに完了させるとしていますが、そんな見通しはたっていません。福島県民も8割近くが「達成できない」と回答しています。(福島民報4日付)

 溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しは、サンプル採取すら見通しがたっていません。デブリ由来の高濃度放射能汚染水も、国費を投入して設置した凍土遮水壁が十分な効果をあげられず、増え続けています。極めて危険なデブリを隔離できず、放射能汚染水も厳格に管理できていない状況です。

 政府と東京電力は、高濃度放射能汚染水を多核種除去設備(ALPS)で処理した「ALPS処理水」について、「関係者の理解なしには処分しない」と漁業者に約束していました。それを公然と破り捨て、海洋放出を4回も繰り返すなど許されません。

 事故収束のめども立たず被害も続いているのに、岸田政権は原発回帰へと突き進んでいます。原発の最大限活用と新規建設を方針とし、老朽原発を60年を超えて運転させられるよう法律を改悪しました。ロシアのウクライナ侵略に起因する国際エネルギー市場の混乱に乗じた財界や原発業界の巻き返し要求を丸のみしたものです。

 その背景として、自民党の政治資金団体・国民政治協会に対して、原子力産業協会会員企業が10年間で70億円を超える献金をしていることを指摘しなければなりません。

 今年元日の能登半島地震は、半島各地に甚大な被害を与えました。震度7が観測された志賀町にある北陸電力志賀原発では、変圧器が損傷し、いまだに一部の外部電源が失われたままです。東京電力柏崎刈羽原発でもトラブルが起きました。

 今回の地震で、原発事故の際に避難路となる半島の主要道路が寸断されました。福島原発事故の際も地震で道路が寸断され避難が困難でした。地震と原発事故が重なれば「避難計画」など「絵に描いた餅」であることは明らかです。地震・津波国日本の原発は、あまりにも危険です。

世論と運動で原発ゼロを

 能登半島北部の珠洲市にあった原発立地計画は、長年の住民の運動で阻止しました。「原発がなくて本当によかった」という思いが大きく広がっています。

 異質の危険、最悪の高コスト、「核のゴミ」に加え、再生可能エネルギー普及を妨害する原発頼みをやめさせ、省エネ・再エネに転換する時です。世論と運動で自民党政治を終わらせ、脱炭素・原発ゼロへの扉をひらきましょう。


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