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2024年3月11日(月)

主張

東日本大震災13年(上)

高齢化、経営難に寄り添え

 甚大な被害をもたらした東日本大震災・原発事故から、11日で13年です。震災に加え、深刻な不漁、コロナ禍、物価高騰の“4重苦”で、住民の暮らしと生業(なりわい)が困難に直面しています。地域の再建・維持に国が責任を果たし続けることは、能登半島地震の被災者も励ますことになります。縮小・打ち切りではなく、被災者の要求に沿った再強化が求められています。

見守り細り増える孤独死

 13年がたつなかで災害公営住宅入居者の高齢化と生活苦がすすみ孤独死が相次いでいます。入居には所得制限があり、もともと自力再建のむずかしい高齢者が多いのに加え、一定の所得を超えると出ていかなければならないため、働き盛りの世代が抜け、見守りやコミュニティーの維持を担う人が減っているのが一因です。

 団地を見回り、支援が必要な人を見つけ、相談にのる生活支援相談員の配置数はピーク時(2016年度)の790人から22年度には296人と半分以下になっています。10年間の復興・創生期間の終了時に相談員の配置事業を打ち切った自治体もあります。岩手県の場合、相談員が配置されている災害公営住宅では、コミュニティー形成の拠点となる集会所の利用が月15~20回あるのに対し、配置のない約7割の団地では月0~2回にとどまっています。すべての集会所に相談員を配置する、入居の所得基準を引き上げるなどで、コミュニティーの維持を図り、孤独死を防ぐ必要があります。

 生活再建のために借りた災害援護資金が返せない状況が生じています。13年間で完済する必要がありますが、22年9月時点で、最初の支払い期日が来たのに滞納している割合が35%、57億円を超えます。死亡などの場合は支払い免除になりますが、国は相続人に返済を求めています。自治体には免除の裁量がありますが、自治体の負担になるので、ためらうのが現状です。国の責任で支払期間延長や免除対象者の拡大を行い、年金生活者など今後も返せるめどがない人は直ちに免除すべきです。

 被災から立ち上がった事業者の経営支援も重大な課題です。中小業者がグループをつくって経営再建を図るためのグループ補助金は地域経済再生に役立ってきました。しかし4重苦のなかで経営がたちゆかず、廃業や倒産に至る例がでています。その場合に、補助金を使った施設・設備を売却・処分すると補助金を返さなければなりません。水産加工などで、取れる魚種が変わって別の機械を買いたくても元の機械を処分できないなどの事態も起きます。実情に即した柔軟な支援で事業者と地域経済を支えなければなりません。

同じ苦しみを繰り返すな

 東日本大震災から13年、阪神・淡路大震災からは来年で30年です。しかし避難所は依然、劣悪で、住宅や事業再建は「自己責任」とされ国の支援は不十分なままです。大規模な復興計画で建設が長引き、よそに移ったまま結局、戻れない事態も防ぐ必要があります。大震災の教訓を総括し同じ苦しみを繰り返させない政治の取り組みが待ったなしです。東日本大震災の復興特別所得税の約半分を大軍拡の財源に流用して国民に増税を押し付けることは許されません。被災者が希望をもてるよう国は抜本的に支援を強めるべきです。


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