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2024年3月11日(月)

きょうの潮流

 「生きてよかったんだか、悪かったんだか…」「この生活には耐えられない」。東日本大震災のとき、避難所の人たちは絶望と不安のなかにいました▼水や食料、電気や暖をとるものもない。雑魚寝の床からは寒さがしんしんと。身も心も震える日々だったとふり返ります。生活環境の悪化などによって、およそ3800人が災害関連死と認定されています▼同じような光景は今も。能登半島地震の過酷な避難状況、心身ともに大きな負担を強いられている被災者。教訓は生かされていません。岩手で避難所生活を経験した女性が思いを寄せていました。「能登は、もっと寒いだろうに」と▼あの日から13年。原発事故の影響もあり、いまだ3万人近くが故郷を追われています。くらしや生業(なりわい)の再建はきびしく、被災者の孤独死も続いています。宮城民医連の健康調査では、被災者の半数弱が生活は苦しいといいます。医療費を理由に受診を控えることも。重度の抑うつ状態が疑われる人は全国調査の倍以上でした▼復旧であって復興ではない―。東北の被災地で何度も耳にした声です。つくり直された道路や建物。しかし人々の生活や街のにぎわいは戻らない。震災への不備や対応の冷たさは、いかに政府が苦難にある国民を突き放してきたかを物語ります▼被災地で必死に生活を立て直そうとしている人たち。生きていてよかった。そう思えるように支え続けることこそ政治の役割ではないか。被災者のありようは、この国の姿勢を映しています。


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