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2024年3月10日(日)

きょうの潮流

 焼夷(しょうい)弾が降り注ぐなかを、家族と必死に逃げた。たくさんの友だちを失った―。九死に一生を得た体験者の証言に聞き入る母と子の姿がありました▼台東区民を中心とした実行委員会が毎年この時期に開く東京大空襲資料展。今年で37回を数え、会場の浅草公会堂には惨禍を生々しく伝える絵や写真、資料が所せましと並べられていました。「いまも平和が脅かされている。戦争を風化させないよう続けていきたい」と▼きのう上野公園では「時忘れじの集い」が開かれました。両親ら家族6人を空襲で失った随筆家の海老名香葉子さんが呼びかけてきたもので20回の節目を迎えました▼とうちゃん、かあちゃん、みんなーと泣き叫び焼け野原を探した日々。戦争孤児となって生きるのがつらかった戦後の体験。90歳となった海老名さんはいかに戦争が無残で、平和な日常が大切であるかをとつとつと語りました▼国会では東京大空襲を経験した96歳の女性が、被害者を救済する法案の成立を一刻も早くと訴えました。全国各地で空襲被害にあった多くの人びと。しかし政府は救済を一貫して拒み、さらに苦しめてきました。「国は、われわれがこのまま死ぬのを待っているのか」。被害者や遺族は怒りをこめて▼なくならない戦争。その悲惨を伝え続けるのは、体験者である私たちの使命だという海老名さん。あの日から79年。次の世代に願いを託しながら、こう呼びかけました。みんなで話し合い、手をとり合って暮らす。それが平和への道です。


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