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2024年3月9日(土)

きょうの潮流

 「男子のみの専有とせられた野球が最近各女学校に盛んになり」。1922年11月、「東京朝日」の社説にありました。戦前の日本で女子野球の広がりをうかがわせます。ところが3年後の全国高等女学校校長会議で野球は女子に適さないとされ、翌年に教材から外れます▼理由は「女子が足を開いてバットを振るなど最も女子らしからぬ行為」だから。これを機に女子野球は衰退します。女性がスポーツから不当に排除された歴史の一こま。こうした例は世界でも枚挙にいとまがありません▼1921年、サッカー発祥の地イングランドで、女子に事実上の“禁止令”が出ます。表向きは「女子の体に有害」。本当の理由は当時、人気を博しつつあった女子サッカーに脅威を感じたから。禁止令は世界に広がり、半世紀も解かれませんでした。一体どれだけの女性が苦悩し、悔し涙を流したか▼だからこそ8日の国際女性デーはスポーツ界にとっても大事な日。日本サッカー協会は5年前からこの日を「女子サッカーデー」とし、「男女の性差を超えて、女性の活躍を願う」発信を続けています▼いまスポーツ界も男女の待遇差があり、賞金や年俸、競技環境まで厳然たる格差があります。理由の一つがこの歴史的制約だけに、女性のたたかいに依拠するだけでなく、男女ともに解決の道を探る必要があります▼「女子サッカーデー」のスローガンは「世界でいちばんフェアな国になろう」。スポーツの平等を求める精神は社会を変える力と深く重なります。


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